
スーパーラグビー王者から何を学び、どう活かしているか。「日野ピクチャー」に迫る。

細谷監督はこうだ。
「表面的に絵を見ているだけではない。それを実現するのに必要なディテールにこだわり、いまの日野のメンバーに合うように(各選手のポジショニングなどを)カスタムしています。我々が現地へ出向き3週間ほど学んだり、帰国後も継続的に日頃の練習メニューをチェックしてもらったり、その内容を検証してもらったり。深い部分まで入り込んでいます」
舶来品とも言えるシステムを机上の空論にしない工夫は、選手側でも施されている。
他部からの移籍組が多いなか、サントリーから加入4季目でFLの佐々木隆道は「(新加入選手を迎えるのは)慣れている。ハートのいい選手ばかりが来ているので、変になることもないです。自然と皆がファミリーになれるような空気感が出てくる」。加えて園木いわく、着任2年目の村田主将が部内の風通しをよくしているという。
レクリエーションをおこなう際も、部員たちがミニチームに分かれて各々が作戦を立てるよう習慣づける。ミーティングでも、3人1組で密に話し合う形式を採用。密なコミュニケーションで相互理解を深められるよう、音頭を取っているようだ。出身校の帝京大で大学選手権8連覇を経験した園木は、こう感謝する。
「ラグビーの時だけ集まる集団ではなく、皆がどんな考えを持っているかなどを共有するための仕掛けがあります。帝京大にはあったような『こういうことをしないと勝てないよね』というチームの文化を作ろうとしているのだと感じます。少しずつ、組織のなかでの人との関わり合いが増えてきました」
7月6日、東京・駒沢オリンピック公園陸上競技場。一部の主力を欠きながら、下部トップチャレンジリーグの清水建設に76-12と快勝。一時は接点での被ターンオーバーに苦しめられたが、着実に加点した。
敵陣深い位置ではFW陣のユニットが球を活かすなか、大外のエリアをFBのギリース・カカらが攻略。自陣から継続する際は崩、新加入LOの北川俊澄らFW同士のショートパスが相手防御網を切り裂いた。
元トンガ代表主将でNO8のニリ・ラトゥ ゲーム主将は、再三ラインブレイクを決めたうえで淡々と言った。
「私はシステムの一部で。全員がシステムを遂行しきろうと意識しています」
さかのぼって6月22日には、トップリーグカップの第1節で2015年度まで3連覇のパナソニックに29-31と迫っている。相手が日本代表組を欠場させていたとはいえ、日野がスタンドを沸かせるに十分だった。
7月12日には、一昨季まで2連覇で今回ここまで全勝のサントリーと激突する。2勝1敗の日野がプールAで1位となるには、今度の白星は必須。細谷監督は、接点でのプレーを修正したいと述べた。
忠誠心の塊であるラトゥは「きょうの勝利は嬉しいですが、本当の勝負は来週です」と語り、「勝ちに行く準備をしてきている」とも断言した。
「まずは一人ひとりのパフォーマンスを上げる。それぞれが準備をしていけば、サントリーに勝てる自信があります。今季、すべての選手がそんなマインドセットを植え付けています。コーチ陣は素晴らしいシステムを与えてくれ、昨季の倍以上のハードワークをしている」
ラグビー王国から輸入したシステムは、チーム文化の形成にも役立っている。




