U20日本代表の福井主将、パナソニックのディーンズ監督からもらった言葉。
プロラグビー選手の福井翔大は、東福岡高校を卒業後に大学を経由せず国内最高峰トップリーグのパナソニックに入り2季目を迎えている。7月9~21日にはブラジルで、20歳以下(U20)日本代表の主将としてワールドラグビーU20トロフィーに挑む。
優勝すれば、来年度は上位トーナメントのU20チャンピオンシップへ昇格できる。自軍の指揮官からのアドバイスを胸に、目標達成を目指す。
「大学に行っていないから比べようはないですけど……」
FW第3列を務める福井は、「大学でラグビーをする多くの同級生と比べ、どう成長できたか」といった趣旨の質問へこう応じる。
今度の大会登録メンバー28名中、社会人クラブの選手は3名。うちトップリーグのチームに加わったのは2名だ。入部後に体重を「10キロ弱」は増やした身長184センチ、体重91キロの19歳は、プロになってからの心境の変化を明かす。
「自分自身としては成長できたと思いますし、周りからもそう言ってもらえます。試合前は、逆にめちゃくちゃ緊張するようになっちゃいました。高校ラグビーの時はなぁなぁのプレーでもそれが通用しちゃっていたところもあったのですけど、(強度の高い)トップリーグでは気を抜いたら頭がぶっとんでいくんじゃないかと思ってしまう」
今季就任の水間良武・U20日本代表監督は「去年からパナソニックで知っている。キャンプ時の周りへの配慮、パフォーマンスを見て選びました」と信頼。昨年までパナソニックのコーチだったとあり、この人の「元気」なキャラクターも認識済みだ。
U20トロフィーが大学の試験期間中にあることなどから、現体制発足後は候補選手の参加辞退が相次いだ。実は福井も一時参加を迷っていたが、最後は各年代代表で一緒だった長田智希(早大)と一緒にプレーしたいからと覚悟を決めた。
背景には、かつてオーストラリア代表を率いたパナソニックのロビー・ディーンズ監督の言葉もあったという。今回は、4~5月にオーストラリアであった「2019 オセアニアラグビーU20チャンピオンシップ」に参加していない選手も9名加わる。
集合前にディーンズ監督と面談したという福井は、決意を明かす。
「ロビーさんから『国を背負えるのは光栄なことだぞ』と言ってくれて、欲張りすぎていたなとハッとしました。(ツアーでは)全員がチームのために頑張ろうと思えるようにしたい。僕は去年のU20に選ばれた時は(大会で不動の)スタート(先発)ではなかったことで、腐りかけたこともあった。そういう選手をなくさなきゃいけない。ロビーさんにも『そういうこと(配慮)ができるのが一流の主将』と言われました。『一番よくないのは、自分が正しいと思ったことを怖気づいてやらないこと』だとも」
チームは9日にU20ブラジル代表との初戦をおこない、13日にU20ウルグアイ代表、17日にはU20ケニア代表と激突する。21日には、ふたつあるプールの同順位同士による順位決定戦が開かれる。結果目標と行動目標のふたつを達成すべく、まずは「仲のいい人とだけしゃべらない」よう意識する。