【ラグリパWest】担当は、部員=勧誘、監督=楽しさ。大阪府立高津(こうづ)高校
笠井航貴は主将だ。3年のスクラムハーフ。大正北中で競技経験はある。
「すごく楽しいです。中学の時はがむしゃらでした。タックルは全力で行け、とか。ここでは理論的です。中で当てといて、外にボールを集める、とかをやっています」
体が大きくなく、初心者は多い。そのため、コンタクトではなく、スペースにボールを運ぶラグビーに重きを置く。
大山にはすでに小さな成功体験がある。
「スクリューパスが放れるようになりました」
将来のスタンドオフは2か月弱で利き手の右でボールに回転をかけられるようになった。今はそれを左手に広げる努力をしている。
山口は説明する。
「うまくなると楽しくなります。そうなると知的好奇心が沸き上がってきます」
ラグビーに対して前のめりになってくる。
高校生を引き付ける山口の教えは、その生まれや育ちと無縁ではない。
出身は大阪。池田からラグビー界で「頭脳」と称される筑波大に進んだ。現役時代はナンバーエイト。山口は二世監督でもある。父・禎(ただし)もその前身である東京教育大出身。親子で先輩後輩になる。父も府教員で池田や刀根山で指導をした。教頭や校長、能勢町長も経験している。
常にコーチングは身近にあった。
高津は週の練習は10時間に定められている。グラウンドは土。ラグビーポールは立ち、試合ができる広さはあるが、野球やサッカーなど5競技で共有している。
その中で得たシード権だった。
恩恵は予選出場が11月になったことだ。ノーシードなら2か月前倒しされる。
「チームが成熟するのは秋です。夏休みになれば練習時間をとれるようになりますから」
山口にとっては願ったりかなったり。これから5か月間、じっくりと育てられる。
笠井は次の花園予選を見据える。
「ベスト4に入りたいです」
1つ勝てばその希望に届く。
大山は上級生たちを想う。
「僕はたぶん出られないので、応援を頑張ります。先輩たちにラグビーをやってよかった、と思ってもらえるように声で後押しします」
勧誘から、楽しさ、そして最後は勝利につなげたい。肩の2本線と襟の紺がアクセントになった白ジャージーは奮闘を続ける。