セブンズ 2019.06.06

男子セブンズ日本代表、ワールドシリーズ コアチーム降格で何を思う? 去就にも言及。

[ 向 風見也 ]
男子セブンズ日本代表、ワールドシリーズ コアチーム降格で何を思う? 去就にも言及。
パリから帰国後、メディアの取材に応じる男子セブンズ日本代表の岩渕健輔ヘッドコーチ(撮影:向 風見也)

 日本ラグビー協会の専務理事候補とも目される男子セブンズ日本代表の岩渕健輔ヘッドコーチ(HC)は、今度の結果に「申し訳ない」と話した。

 5月25日から6月2日まで、世界サーキットである「ワールドラグビー セブンズシリーズ」のロンドン大会、パリ大会に参戦。試合結果を受け、同シリーズへ常時参戦できるコアチームから降格していた。2020年のオリンピック東京大会でのメダル獲得を目指すなか、強豪との対戦機会を失う格好だ。

 昨年6月の着任以来タフに鍛えてきた選手を讃えながら、今回いくつかの「大一番」を落としたのを悔やんだ。

「就任時、他国と比べてスタッツ、能力を分析したらどの項目を取っても最下位でした。そのなかでコアチームに残留するには、とにかく(各大会の)最終ラウンドまでもつれ込ませるしかなかった。最後の最後まで走れる、ギリギリまで我慢できるようなチームを作らなくてはいけないからと、選手はずっとハードな練習をしてきてくれて、パリ大会もその頑張りで最後までもつれ込ませてくれました。そんななか、大一番が何回かありました。ロンドン大会のウェールズ代表戦(2日目:チャレンジトロフィー準々決勝、0-17)、パリ大会のスコットランド代表戦(1日目:プールD最終戦、21-22)、イングランド代表戦(2日目:チャレンジトロフィー準々決勝、7-52)……。ここで勝てなかったのは選手うんぬんではなく、僕のヘッドコーチとしての力の問題が大きかったと思います」

セブンズ国際大会の経験が豊富な坂井克行(撮影:向 風見也)

 プレーヤーズサイドの思いを「悔しい思いはありますけど、改めて簡単に勝てる世界ではないな…」と代弁するのは、主将経験のある坂井克行だ。

 現地ではロンドン大会でイングランド代表を破ったり、フランス大会でフランス代表を下したりと底力も示している。だから坂井も、昨年から続いたワールドシリーズを通しての成長を「初戦は大差で負けることもありましたが、戦えるようにはなってきた」と認める。

 しかし、岩渕HCの言う「大一番」で競り負けたため「あとひとつ何かが足りないことも、頭に入れておかなくてはいけないです」続けた。

「勝ち切れなかったことが、今後の課題。精神的な部分で言えば集中力、さらにはゲームの読み(が必要)」

 ここでの「読み」とは、妥当なプレー選択をし続けることだろう。以前と比べ獲得率の上がったキックオフについて、こんな私見を続けた。

「キックオフをどこへ蹴るか、誰が出ているのならだれに合わせるか、相手のメインジャンパーはどこにいるか……その辺を理解しないと」

 計画性の高さで知られる岩渕HCは、かねてコアチーム残留時の強化プラントと降格時のそれを別個に立案していた。「オリンピックで勝負したいと思ってこの仕事を受けたので、もう一回続けさせてもらえるならやりたいです。その辺を含め、強化委員長を含め協会のレビューを受けたいと思います」とする。

 話をしたのは、帰国したての4日だった。取り沙汰されている専務理事就任の報道について聞かれても、まずは現場で戦う意欲を表明する。

「私自身、現場にコミットして、ようやく少しずつチームになってきたところ。もちろん結果については申し訳ないし、責任を感じるし、不甲斐ないと思っていますが、一方で前向きな部分も出てきています。自分はずっとチームと一緒にいたので、いま報道されていることについては考えてもいませんでしたし、そこについてはもう一回、協会のなかでどんな話があるのか……だと、思っています」

 坂井はいち選手として、「今後のマネジメントは僕にはわからないですが、オリンピックでメダルを獲るにはメンバーを固定し、『オリンピアンではなくメダリストになる』というマインドが大事になる」と提言する。

「1戦目から100パーセントの力を出していかないと。100パーセントの力を毎試合出せるか(が大事)」

 どんな立場に置かれても、てっぺんを狙うことをあきらめない。

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