国内 2019.05.27
決勝は7年連続「学芸大 vs 一橋大」に 第67回東京地区国公立大学体育大会

決勝は7年連続「学芸大 vs 一橋大」に 第67回東京地区国公立大学体育大会

[ 見明亨徳 ]

■『一橋大、残り15分で生き残る。東工大主将は悔し涙』

 学芸大快勝の話は一橋大グラウンドに入っていた。
「去年、最後のところで負けた(29-34)。先輩たちの借りを返す」。一橋の司令塔SOで主将、堀内芳輝(4年、愛知高出身)は、この試合はリベンジへの一課程だった。
 しかし、決勝への思いは東工大の方が強かった。前半開始9分、先制は東工大。一橋ゴールへモールで迫ると、エースランナーのアウトサイドCTB早舩晃希(3年、桐光学園出身)がインゴールへ運んだ。3分後、モールをそのまま押し込み左PR大島義人(3年、加茂高出身)が仕留める。22分には一橋陣10メートルライン内で反則をもらう。FB落合翔悟(4年、市川高出身)がPGを正確に決め、15点をリードした。

花園経験をいかす一橋大のルーキーFL島田(撮影:見明亨徳)

 一橋大は敵陣に入るも点を取れない状況が続き、プレーに焦りが出始める。
 ルーキーのFL島田耕成。昨年度の全国高校大会東京都代表で花園の土を踏んだ本郷高の主将、難関の受験を突破して希望を成し遂げた大物新人もPKからタップで進もうとするもノックオンをしてしまう。「公式戦デビューでした。80分間の試合も初めて。受験を終えてフィジカルなど戻ってきています。早く環境に慣れたい」。試合中、セットプレーで指示を出すなど「発信力がすごい。頼もしい存在」(堀内主将)、チーム内でポジションを築いている。
 ようやく27分、CTB佐々木勇気(3年、国立高出身)がゴールラインを越えた。5分後、佐々木はPGも決め10-15と後半への期待をつないだ。

一橋大はCTB佐々木がようやくトライで反撃を始めた(撮影:見明亨徳)

 後半開始から一橋大が攻めるも、ここでも東工大ディフェンスが粘り強く止める。
 点が入ったのは28分。自陣左スクラム起点でつなぎ右WTB菅原寛也(4年、宇都宮高出身)が小気味よくステップを繰り出す。東工大ディフェンスを抜き去り右中間へ飛び込んだ。コンバージョンも決まり17-15と試合の主導権を握った。
「焦りがなくなった」と堀内主将の話す通り、選手が躍動を始めた。2連続トライに最後はPGで15点を追加し、32-15で挑戦権をつかんだ。

「自分たちのラグビー、ディフェンスからボールを奪いチャンスへつなげる。ここは変えないでいきます」(堀内主将)。学芸大戦まで2週間、スタイルを強化する。

 試合後の円陣、東工大では首脳陣が「自分たちの判断ミスで勝ちを逃した」と指摘した。円陣がとけるとWTB柳井優作主将(4年、川和高出身)の目は涙で充血していた。
「前半、リードできたまでは良かった。その後でミスで自分たちの流れを作ることができなかった」

ラックへ入る東工大主将、柳井。試合後、悔し涙を流した(撮影:見明亨徳)

 ラグビーと学業、国公立大で後者を中心の大学生生活を選択した選手たち。それでも悔しいときは涙を流し次への成長を誓う。
 準決勝の前日、この国の唯一のプロチームは13,600人のファンが詰めかけたホーム秩父宮ラグビー場の試合で大敗した。しかし悔しい表情、涙を浮かべるプロ選手は皆無。楕円球への思いは一橋大グラウンドの方が強かった。

 決勝戦。学芸大、一橋大の両校は2013年以来7年連続で同じ舞台へ。過去6年の戦績は学芸大4勝、一橋大2勝。学芸大は2010年以後も東京海洋大と3年連続で覇を競い3連勝している。

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