コラム 2019.05.10
【コラム】再建への苦闘。

【コラム】再建への苦闘。

[ 直江光信 ]

「このチームは必ず伏見工業のように輝くチームになる。君たちはその一代目や。いろいろ苦労がある中で、がんばって地盤を築いてくれてくれたのだから、胸を張ってほしい」

 今季のチームは、その決勝に先発した15人のうち11人、途中交代も含めれば15人の出場メンバーが残った。看板のBKにはキャプテンのSO井上陽公やCTB澤井育実らスキルフルなタレントが並び、FWにもLO/FL森山迅都、FL/NO8松永壮太朗と能力の高い大型選手を擁する。持てる力を出し切ればどの相手にも勝利できるポテンシャルが、十分ある。

 府内のライバル、京都成章は高校ラグビー史上最大とも評される超大型FWを武器に近畿大会を快勝し、全国選抜大会では準決勝で桐蔭学園に肉薄、ワールドユースでも国内外の強豪と好勝負を繰り広げるなど、順調な春を過ごしている。現時点での立ち位置を比べれば、小さくない差があることは否めない。しかし、ここという決戦で説明不能の力を発揮し、予想を覆す勝利を収めてきたのが、伏見工業の歴史だ。

「その力を出すための準備を、やり切りたい」(大島監督)

 相手が強大であればあるほど燃える。それもまた、伏見工業の伝統である。


選手に語りかける大島監督。真っすぐな視線が意志の強さを感じさせる(撮影:早浪章弘)
選手に語りかける大島監督。真っすぐな視線が意志の強さを感じさせる(撮影:早浪章弘)
【筆者プロフィール】直江光信( なおえ・みつのぶ )
1975年生まれ、熊本県出身。県立熊本高校を経て、早稲田大学商学部卒業。熊本高でラグビーを始め、3年時には花園に出場した。早大時代はGWラグビークラブ所属。現役時代のポジションはCTB。著書に『早稲田ラグビー 進化への闘争』(講談社)。ラグビーを中心にフリーランスの記者として長く活動し、2024年2月からラグビーマガジンの編集長

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