シックス・ネーションズに見る ジャパンのライバルの弱点とは?
ヨーロッパ最強の座を争う「シックス・ネーションズ」は、2月23、24日で中間点となる第3節を終了した。ワールドカップイヤーである今年のシックス・ネーションズは、大会そのものの優勝争いだけでなく、9月20日に開幕するラグビーワールドカップを見すえ各国の仕上がり具合やチーム状態をチェックする機会という意味でも、例年以上に多くの見どころがある。ここでは、ワールドカップで日本代表の最大のターゲットとなる2国――アイルランドとスコットランドの現状と、これまでの戦いで浮かび上がったウィークポイントを掘り下げてみたい。
スコットランドは開幕節でイタリアに33-20と勝利したものの、続くアイルランド戦(13-22)、フランス戦(10-27)に連敗し、イングランド、ウェールズとの対戦を残した段階で黒星が先行している。ハードワーカーぞろいのFWがひたむきに働き、イタリア戦でハットトリックを決めた新鋭WTBブレア・キングホーンの活躍が目を引くが、上位勢に比較すればややパンチ力不足の感は否めない。堅実でバランスのとれたチーム力を誇る半面、飛び抜けた強みを有するわけではない点は、日本代表にとって好材料だろう。
ここまでの3試合で気になったのは、ハンドリングエラーの多さだ。勝利したイタリア戦も奪った5トライよりむしろミスでチャンスを逃したシーンのほうが目立つほどで、アイルランド戦では後半ほとんど好機を作り出せないままホームで敗戦のホイッスルを聞いた。前節のフランス戦も相手のプレッシャーにボールを失い、そこからピンチを招く場面がしばしば。ディフェンスで粘り強く体を張り、相手のエラーに乗じてカウンターで一気にスコアを狙う――というのが、対スコットランド戦での突破口になりそうだ。
もうひとつの気がかりは、主軸にケガ人が相次いでいること。FLライアン・ウィルソン、CTBヒュー・ジョーンズがアイルランド戦で膝を痛め長期離脱が決まったほか、アタックのキーマンであるSOフィン・ラッセル(脳震盪)、FBスチュアート・ホッグ(肩)も負傷し、フランス戦を欠場した。ワールドカップまでに強度の高い実戦で連携を深める機会は限られており、その経験を重ねられないまま本番に臨まなければならない点は、不安材料になりかねない。また、過去5年のシックス・ネーションズのアウェーでの戦績は2勝9敗と大きく負け越しており、敵地での戦いでなかなか力を発揮できない点も、ホームの絶大なサポートを受けて戦える日本代表にとっては心強いデータと言えるだろう。
もちろん両国とも確固たる地力と経験を備えた格上のチームであり、ジャパンにとっては非常に困難な相手であるのは確かだ。しかし、ワールドカップで上位候補に挙げられる強豪であっても、ペースが乱れれば強みを発揮できず、どこかに必ずつけ入る隙があることも、ここまでのシックス・ネーションズでの戦いぶりから実感できた。残り2節を含め、今大会で明らかになったさまざまな要素は、日本代表にとって貴重なヒントとなるはずだ。
◆◆◆ WOWOW番組情報 ◆◆◆
★「生中継!ラグビー欧州6カ国対抗戦 シックス・ネーションズ」
130年以上の歴史と伝統を誇る「シックス・ネーションズ」。ヨーロッパのラグビー強豪6カ国が参加して行なわれる大会はいよいよ後半戦へ突入!全試合生中継でお届けする!
【第4節】
スコットランドvsウェールズ 3/9(土)夜11:00~[WOWOWライブ]
イングランドvsイタリア 3/9(土)深夜1:30~[WOWOWライブ]
アイルランドvsフランス 3/10(日)夜11:45~[WOWOWプライム]
【最終節】
イタリアvsフランス 3/16(土)夜9:15~[WOWOWライブ]
ウェールズvsアイルランド 3/16(土)夜11:35~[WOWOWライブ]
イングランドvsスコットランド 3/16(土)深夜1:50~[WOWOWライブ]
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