【コラム】やっぱりONE AND ONLY. だった。
2018-2019シーズンの取材メモ
1月7日、全国高校大会決勝の前の花園に、第11回を迎える重要な試合が行われた。「U18合同チーム東西対抗戦」。
1、2年生だけで臨む新人戦の段階で単独チームが組めなかった全国のチームが選考対象。ピックアップされた優秀選手が東西に分かれ、力をぶつけ合った。
沖縄・美里高校の高校代表候補、石川瑠依のはじける走り、BST昭和高のLOブルースケオン壮太はまだ2年生、もうすぐに190センチを超えるだろうサイズでシャープに動いた。このほかにも逸材多し、ラグビーマガジン142ページの選手名とチーム名をおぼえておくと、数年後の大学やクラブの試合がより楽しくなるかもしれない。
勝った西軍の2番は、ラックができると遠い方、遠い方へ走って、抜けて当たってよくパスを放った。順目側で光ったキャプテン、HO甚川恭佑。所属する島本高校は、HO堀江翔太をはじめ日本代表を複数生む大阪の古豪だ。
島本高校ではずっと1人で、練習してきた。
「いえ、入った時は3年の先輩が1人、いました。1対1のタックルをやったり、パスしたり。札木(理・監督)先生が来られる日は3人でできた。合同チームの練習がないときは、一人でウエイトとか…、いろいろできることはありますよ」
そうだよな、と肩を叩きたくなる。この人は一人にして確かに島本のキャプテンなのだとあらためて思わされた。
恭佑は、小4の時に高槻ラグビースクールで楕円球に出合った。高校は私立校を選んだが、1年時、事情から学校をやめ、翌年に別の学校に1年生として入り直すことにした。なるべくラグビー部のありそうな公立を、と探し当てたのが、府立のラグビー伝統校・島本。部員数は意外だったが、合同チームの仲間もいる。またラグビーに取り組める日々は上々だ。
チームとしてのプレー機会を少しでもと、部員獲得や、環境づくりに走り回ってくれた監督、そしてただ一人の先輩にも感謝している。
2018年の春、3年生になった恭佑に1年生の後輩ができた。
「1人、入ってきてくれました」
入学時に自分を迎えてくれた先輩はこんな気持ちだったのかと、ことあるごとに思う。秋、7校から生徒が集まった「合同D」チームは予選リーグ2戦2敗に終わった。1月7日の舞台は、母校の名を売るチャンスでもあった。西軍主将、島本高校のHO甚川はしっかりと観る者を引きつけた。卒業後は、愛知学院大へ。東海大学リーグの有力校だ、きっとウォームアップから楽しい。
あの島本高校が今や部員2名に。
時の流れをそう嘆くこともできるが、2名でも、部員1名になってもチームが存続してきたことには、見えない、多くの人の力と思いがかえって感じられる。この日全国から集まった合同の仲間たちの元にも。来年の春、一人でも、2人でも後輩がラグビー部の門を叩きますよう。
花園2週間の最後の日、全国高校大会決勝前の60分。前座のように見えるゲームも、ラグビーにとって、全国で楕円球に携わる人にとって大切な60分だった。