国内 2019.02.04

東明、黒衣の壁破り初V。大分の高校ラグビーは両雄の時代へ。

東明、黒衣の壁破り初V。大分の高校ラグビーは両雄の時代へ。
(大分県高校新人ラグビー大会で優勝した大分東明。写真はチームのFacebookから)

 ついに厚い壁を破った。
 全九州高校新人ラグビー大会大分県予選は3日、大分舞鶴と大分東明による決勝が行われ、大分東明が36-5で快勝して悲願の初優勝を飾った。
 全国7人制大会などで名を上げてきた東明。15人制でも舞鶴の牙城を崩し、新人大会28連覇を阻止した。

 前半だけで5トライ31点を奪って大勢を決めた。大分東明の白田誠明監督は「最初の数分間で勝ったと思った」と振り返る。長く君臨してきた黒衣の絶対王者に、序盤からほとんど主導権を渡さなかった。
 フィジー人のNO8セコナイヤ・ブルとCTBジョアペ・ナホの大型選手が好機を演出。だが、勝因はもちろん個人技だけではない。SH若松主将、CTB戸高を中心にテンポよくボールを動かし、HO冨田らの突破力を生かした。焦りからか反則がかさんだ舞鶴に対し、わき出るようなフォローでスペースを突いて優位に攻めた。
「選手が自分たちで考える主体性こそがうちの強み。練習でも状況判断力を伸ばすことばかりを言って、消極的な動きや意図のないプレーだけは叱ってきた」と白田監督。留学生の力だけに頼らない試合運びに胸を張った。

 この1週間はインフルエンザの蔓延があり、10人が離脱するなど苦労したという。しかしいざ試合本番になれば、前年のレギュラーが12人残るチームは自信に満ちていた。試合後も大騒ぎする様子はなく、必然の結果を噛み締めるように喜んだ。

 創部40年以上だが、白田監督を2011年に迎え、一気に力を付けた。運動部寮が整備され、新年を迎えて人工芝グラウンドも完成。県下随一の私学のバックアップも厚くなってきている。監督は「チームの力を全国水準にしないといけない。これから九州大会で揉まれて安定した力を出せるようにしたい」と充実の口ぶりだった。

 一方、33年連続で花園に出場し、全国制覇の経験もある大分舞鶴は久々に県予選で苦杯。HB団など主要ポジションで前年のレギュラーがほぼ抜け、新チームの部員数不足による実戦の乏しさも影響した。
 堀尾大輔監督は「東明戦を意識した指導陣の緊張感が選手に伝わってしまったのかもしれない」と責任を背負い、「自信の無さがプレーに表れていた。時間はあるようでない。これから試合経験を積み、峠をいくつも越えないといけない」と話した。
 試合後のコーチ陣の話し合いは深夜まで続いた。九州大会は2位で出場するが、かつてない県での大敗に、危機感が募っている。

 白田監督は舞鶴の卒業生でもあり、2003年度の花園準優勝時にはコーチとして堀尾監督を支えていた。「OBとして見るのは複雑だが、切磋琢磨しないと互いにレベルは上がらない」
 自信を深めた私立の新鋭がこのまま突っ走るのか、多くのファンが復活を待つ公立の名門が意地を見せ巻き返すか。対照的な両雄の覇権争いが今後さらに耳目を集める。

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