コラム 2019.01.25
【ラグリパWest】日立、栃木市、八幡山での集大成を鈴鹿で。 WTB尾又寛汰(Honda) 

【ラグリパWest】日立、栃木市、八幡山での集大成を鈴鹿で。 WTB尾又寛汰(Honda) 

[ 鎮 勝也 ]

 そして、明治大に進む。
「僕の一族に3人、明治のラグビー部だった人がいました。それに、ひとつ上の塚原さんと田村さんが行ったこともありました」
 敬慕するPR塚原巧巳(神戸製鋼)やFB田村煕(サントリー)のあとを追う。

 大学では自身の希望でCTBに移った。
「丹羽さんがやらせてくれました」
 前監督の丹羽政彦に謝意がある。
 22大会ぶり13回目の大学選手権優勝は、尾又にもよろこびと励みをもたらした。
「感動もしたし、僕も頑張らないといけない、という気にさせてもらえました」
 トップリーグ自己最多タイの3トライを記録したサニックス戦は決勝戦の翌日、1月13日にあった。

 Hondaではレメキ ロマノ ラヴァを兄とも師とも慕う。日本代表キャップ8を持つチームの顔だ。
「寮の部屋にいるよりも、レメキさんの家にいる時間の方が長いです」
 6歳上の同じWTBからは技術的なことはもちろん、ラグビーへの向き合い方を学ぶ。
「土曜の夜から日曜いっぱいがオフの場合、レメキさんは、夜は飲んだり食べたりするけれど、朝は早く起きてトレーニングに向かいます。オンとオフがはっきりしています」

 プロ選手のレメキにとって、尾又は若手、社員選手とはいえ、ライバルに育つ可能性がある。抜かれれば、死活問題になる。
 それをわかった上で、トンガに祖を持つ30歳は尾又を可愛がる。先輩の器の大きさ、後輩の人間性のよさが示される。

 Hondaはトップリーグ再昇格1年目で16チーム中9位と健闘した。
 尾又は来季の個人的な抱負を口にする。
「コンスタントにゲームに出られるようになって、チームの勝利に貢献したいです」
 リーグ戦、それに続く順位決定戦を合わせた10試合中、出場は2試合のみ。その数を積み増していきたい。

 尾又は茨城、栃木、東京を経由して、三重にやってきた。親元を離れた暮らしの連続は、覚悟を磨く。その精神的な強さを下地に、ラグビー選手としてプレーを確立させたい。それは、Hondaのさらなる躍進にじかに結びついてくる。
(文:鎮 勝也)

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