やるからにはW杯8強へ。エールで送られたサンウルブズ藤井GMの新生活始まる。
日本ラグビーのためだ。ふるくからの仲間のためだ。
長く宗像サニックスブルースを率いた藤井雄一郎の新しい人生が始まっている。
1月14日から千葉・市原スポレクパークで始まったサンウルブズのプレシーズン合宿。そこに姿があった。
2018年度からサンウルブズのGMを務めている同氏。今月11日付で日本代表の強化副委員長(サンウルブズ担当)にも就任し、宗像サニックスの監督は退任することになった。これまでと大きく生活が変わる。
昨年12月23日。トップリーグ入替戦で最後の指揮を執った藤井氏は、栗田工業に75-0と大勝した後に話した。
「(2018年は)サンウルブズ(のGM)や日本代表に関わる時期もありました。そういった兼務の状況を続けて(代表関連とサニックスの)双方に迷惑がかかるといけないので、来年はサンウルブズ、ジャパンでの活動に専念します」
2005年から、何かひとつ光るものを持つ原石たちを鍛え、トップリーグの中で抗ってきた。名門チームに勝ったこともあれば、中位まで浮上したことも。
結果以上の存在感を残す集団に育てた感性が魅力的な人だ。
今回、住み慣れた場所を離れる決断をしたのは、現役時代にともにサニックスでプレーした親友、ジェイミー・ジョセフ日本代表ヘッドコーチの強い希望があったからだ。
「現役を引退したタイミングで、(サニックスを指導していた)ジェイミーに一緒にやろうと誘われたことがあるのですが、そのときは断った。そのときの申し訳ない気持ちも、今回の決断の理由のひとつです」(入替戦後談話)
2019年のワールドカップでの8強入り。ジョセフHCは大きな期待を背負っている。
大仕事だ。本人はできる限りコーチングに専念したい。それ以外の部分を信頼できる男に任せたいと思っていた。
「昨年スポット的に関わってみて、そこでやったことを見てもらい、『その上で必要と思ってもらえるのなら』と言ってきて、今回こうなりました」(入替戦後談話)
文化的な違いから、コーチ陣と日本人選手の間に理解不足が起こらないとも限らない。そういったものを解消することも、ひとつの役目となりそうだ。
宗像サニックスでの最後の指揮を終えたとき、10年以上の歳月を振り返り、「いろんな想い出がありますが、神戸製鋼に勝った試合などは印象深いですね。限られた戦力で、なんとか勝ってやろうと、無茶なことも考えた。それに対して選手、スタッフが本当に良くやってくれました」と話した。
「(2019年は)日本ラグビーにとって勝負の年。ワールドカップ後のラグビー界のことも考えて、自分のやれることを精一杯やっていきたい」
覚悟を決めた指揮官を、2018年度のブルース主将を務めた杉浦敬宏は「選手の中では僕がいちばん長いつき合いです。やるからにはベスト8を目指して頑張ってほしい」と送り出した。