国内
2019.01.07
「いつもいる」人の、タフさと信頼。
いぶし銀の背番号7。初4強・流経大柏 FL木村倭
最後の試合となった大阪桐蔭戦、木村のテーマは、相手FL、重戦車・奥井章仁(あきと)を止めること。密集脇にはいつも身を低くした戦闘態勢の木村がいた。
「上にいくとそのままドライブされる。絶対に下に入る」
下に刺さり続けた。しかし、本人には悔しさが残る。
「上から乗られて、食い込まれてしまいました」
躊躇はなかった。タックルは相手のヒザほどの低さ。それでも彼が自分に課した役割は果たせなかった。
12-31で迎えた後半29分、流経大柏がスコアしたトライでロングゲインを遂げたのは2年生・篠澤輝(ひかる)のラン。BKのような素晴らしい突破とステップだ。篠澤は後半13分からPR石水健太とともに途中出場、強いタイプから動けるタイプの選手へのスイッチはこの日の戦略上の交代だった。
そして、最後にインゴールに飛び込んだのは「いつもいる」背番号7だった。
自陣からゴール前まで走った篠澤を、冷静にサポートし、直前に投入したばかりのSHがさばいたボールを受け右隅でトライラインを超えた。リュウケイの7番、今大会唯一のトライがチームのラストトライになった。
表情を変えず、走って自陣に戻った木村。欲しかったのはトライよりも、次の試合の7番のジャージーだったのだろう。絶望的な点差と残り時間のなか駆け寄った仲間の顔に、寄せる信頼の大きさが表われていた。進学先は流経大。フィールドは先へ広がっている。
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