セブンズ 2018.12.08

ワールドセブンズシリーズ・ケープタウン大会 日本8強入りへのポイント

ワールドセブンズシリーズ・ケープタウン大会 日本8強入りへのポイント
ドバイ大会でビッグプレーを見せた鶴谷知憲(右)と藤井諒。南アでさらなる成長を見せられるか
(撮影:出村謙知)

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世界でもコンタクトは通用する感触を掴んでいる中澤健宏。和製チームでの8強入りなるか
(撮影:出村謙知)
 南アフリカ時間の8日、HSBCワールドラグビーセブンズシリーズ2018-2019の第2戦・ケープタウン大会が開幕する。
 最終成績は14位だった1週間前のドバイ大会終了後、「ここにいるメンバーをベースにしていく」と、岩渕健輔ヘッドコーチが語っていた通り、ケープタウン大会を前にベテランの橋野皓介などが合流したものの、今回もカタカナ名の選手はゼロ。
「日本人だけで、いままでにない感じ。外国人選手がいるとその人に頼ってしまうが、自分たちでやらないといけないというのが出てきた」
 そんなふうに“和製チーム”の手応えを感じる小澤大主将、橋野、そして、すでに日本における「ミスターセブンズ」と言える存在になっている坂井克行の3人を除けば、世界レベルでの経験がほとんどないメンバーばかりだが、「それぞれが色を持っている」(坂井)選手たちがドバイでの未経験ゾーンを経てどう成長したかが、ターゲットであるベスト8にたどり着くための鍵となる。
「7人制だが、かなり前に出て挟むということを一番メインに考えている」
 岩渕HCがそう方向性を語る新しいディフェンスシステムがうまくハマッたシーンがドバイ大会であった。
 大会2日目の2試合目。13位決定トーナメント準決勝のケニア戦。
 前半5分の坂井のトライ&コンバージョンで7−5とリードした後の日本のキックオフをキープしてアタックし始めたケニアに対して、日本全員が前に出るディフェンスでプレッシャーをかけ、ミッドフィールドで鶴谷知憲と藤井諒がダブルタックル。こぼれ球を鶴谷自身が拾って坂井につなぎ連続トライを決めた。
 この一連のプレーで試合の流れを引き寄せた日本は昨季総合8位のケニアに26−19で競り勝った。
「日本がコアチームでワールドシリーズを回るのは今シーズンが3回目。1回目(2014-2015)は1勝するまで6大会。2シーズン前も4大会かかった。1大会目で勝てたのは次につながる勝利」
 岩渕HCが強調するケニア戦勝利という結果、そしてそこに至るプレー内容からも、ドバイ大会の6試合(過去2大会は最下位に終わり、5試合しか戦えていない)を経てチームがワンランク成長したことは間違いない。
 ドバイでのケニア戦でビッグプレーを演じた2人は、それぞれケープタウン大会に向けた課題と8強入りのポイントを以下のように語る。
「チームとしての一番の修正点は2人目の寄り。凄くいい攻撃をしていて、もう少しでトライというところで、最後の最後にジャッカルされてターンオーバーからトライまで持っていかれるという場面がすごく多かった。あそこで取りきれていれば状況は変わるし、相手の心理状態も変わる。
 個人的にはキャリーのところで、考えすぎているところがある。つなぐとか考えないで、行くべきところは思い切って、もっとしっかり行く。それで少しずつゲインしていって、早いボール離しとか、日本の強みをミスなく出していければ勝てる。
(ドバイ大会のケニア戦での前に出るディフェンスに関して)あれは、個人的には良かった。今後もああいうプレーを出していきたい」(鶴谷)
 もちろん、ワールドシリーズでプレーする選手であれば当たり前とも言えるが、2人ともドバイではタックルだけではなくボールキャリーの部分でも非凡なところを見せた。
「セブンズ自体が初めてだったが、基本的に速い展開になることが多いので、ある程度、裏に出ることはできた。その後にうまくオフロードとか、その後につながることを考えていかないといけない。セットプレー、キックオフが取れると違う。マイボールキックをどれだけ競ってプレッシャーをかけられるか。すべてを完璧に試合の最初からできないと世界では勝てない。試合の最初に焦点を絞っていけるようにしていきたい」(藤井)
 また、ワールドシリーズは初めてだったが、アジアシリーズ3大会でのタフな戦いの経験を生かして、タイトな状況でもソリッドなプレーぶりで攻守に貢献した中澤健宏は、「コンタクトでは劣っていない。勝つチャンスはある」と断言する。
「アジアシリーズでは勝って当たり前だったが。(ドバイ大会では)ワールドシリーズで1勝する難しさが身に染みた。セブンズは14分と短いし、流れをいかに掴むかだと思う。僕たちにも勝つチャンスはあった。
 コンタクトは劣っていないし、ボールを持ってアタックすればゲインできる。でも、ワールドシリーズのチームがうまいのは、駆け引きのところ。1−1だけじゃなく2−1とかをつくってくる。
 個人的にも、判断力はもっと上げていきたい。いいキャリーが自分の武器だとは思うが、でも離すところは離す。味方がつかまる瞬間に加速して、オフロードをもらう。そういうプレーができるのが坂井さんだし、だからトライもたくさん取れる。それを全員ができるようになれば、ワールドシリーズでも勝てる」
 ワールドシリーズ全10大会中、3大会以上でベスト8入りすることを狙う岩渕ジャパン。ケープタウンで今季最初の目標達成を成し遂げるためのプール戦のライバルは、アメリカ(昨季総合6位/今季ドバイ2位)、アルゼンチン(同7位/8位)、スペイン(同11位/12位)となる。
(文:出村謙知)

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