セブンズ 2018.12.03

小澤主将と坂井が振り返るドバイセブンズ “和製チーム”で1勝を挙げた意義

小澤主将と坂井が振り返るドバイセブンズ “和製チーム”で1勝を挙げた意義
ケニア戦でトライを奪う小澤主将(手前)と坂井。日本人だけのチームの可能性を感じた
(撮影:出村謙知)

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ドバイでの経験を生かしてケープタウンでさらに成長できるか岩渕ジャパンの挑戦は続く
(撮影:出村謙知)
 コアチームとして2年ぶりに戻ってきたドバイセブンズ 。
「9大会中3回はベスト8に入りたい」(岩渕健輔ヘッドコーチ)というシーズンの目標に向けて好発進が期待されたが、初日のプール戦は3敗。
 2日目もノックアウトステージは初戦のチャンレンジトロフィー準々決勝はサモアに大敗(12−40)したが、「試合するごとにいい部分が出てくるようになっている」(小澤大主将)という言葉通りに、敗れれば実質的な最下位、かつ他のチームよりも1試合少なく大会を終えることになってしまう13位決定トーナメント準決勝では12チーム時代からコアチームの座を守り続けてきたケニアに26−19で競り勝ち、最終戦の13位決定戦でウェールズに敗れた(7−31)ものの、2016年、2014年と、過去にコアチームとしてドバイセブンズを戦った時よりも上位である14位で戦いを終えた。
「日本がコアチームでワールドシリーズを回るの3回目だが、1回目(4年前)は1勝するまでに6大会。2年前も4大会かかった」(岩渕HC)
 そんな厳しい世界へのチャレンジの当事者となってきた坂井克行、そして小澤主将という経験豊かな中心選手に、大会全体を振り返ってもらいつつ、「(セブンズ代表として)長くやってきてますけど、日本人だけなのは初めて」(坂井)という“和製チーム”で第1戦のドバイ大会で1勝を挙げた意義について語ってもらった。
――プール戦では大敗ばかりの3連敗でした。
小澤
「ワールドシリーズ初経験の選手も多くて、オーストラリア戦(0−43)は緊張から自分たちのプレーができなかった。それでも、2戦目のイングランド(7−31)、3戦目のカナダ(7−27)と試合をするごとに自分たちのいい部分が出てくるようになった。そこをもっと伸ばさないといけない。カナダ戦は、せっかく前半善戦したのに(7−7で折り返し)、後半、開いてしまった。粘れなかった」
――初日の3試合、そして2日目の第1試合(チャレンジトロフィー準々決勝)のサモア戦と、いずれも試合開始直後は日本がボールキープして敵陣までいいアタックで攻め込んだ後の反則やミスで取りきれずに、流れを失う展開が続きました。
坂井
「ボールキャリアのスキル、サポートの速さ。ここのレベルが世界と圧倒的な差があった。『ここでボールが出ていればトライ』というところで反則を取られた。そこのスキルが圧倒的に足りなかったし、ワールドシリーズではそこから逆にトライを取られるという意識も低かったと思う。言ってきたつもりではいたけど、みんな、ピンときていなかった」
――それでも、負ければ次の試合ができなかったケニア戦(13位決定トーナメント準決勝)では、前に出るディフェンスでのターンオーバーからトライを奪ったり、若い選手たちのいい面もたくさん出るかたちで競り勝った。
小澤
「1日目のオーストラリア戦でほとんど自分のプレーができなかったのを思えば、みんなが前に出て、アタックもディフェンスも前に出ようとする勢いあった。2年前のダミアン(=カラウナ前HC)の時も2日目の2試合目でウガンダに負けて5試合しかできなかった。それを考えると、今回はメンバーが大きく変わって、ワールドシリーズが初めてのメンバーも多い状況で6試合戦えた。そこはポジティブに捉えていいと思う」
――それだけに、最後のウェールズ戦でも勢いを持続した戦いをして、有終の美を飾りたかった。
坂井
「1本取られたけど、取り返して、流れがきたというところでこちらがミス。気がつけば、いつのまにか点差が開いていた。ワールドシリーズは別格にレベルが高い。僕自身が思っていたのより、さらにレベルが上がっている。1個のパスミスがそのまま相手のトライになる。1個の反則から一気に流れを失う。一度、相手に勢いが行ってしまうと、なかなか取り返せない。疲れが溜まってくる2日目も勢いある戦いを持続させていかないと、世界では戦っていけないと改めて実感した」
――ドバイからそのまま移動して、すぐに第2戦のケープタウン大会(12月8、9日)となります。
小澤
「2週間続けてやるのは、移動もあるし、どのチームも難しい。その中で自分たちはレベルを下げるのではなく、さらにレベルアップできるように、そういうマインドで初戦から臨んでいきたい。一番レベルアップさせなければいけないのはコミュニケーションの部分。2人、3人目のサポートの部分を意識して変えていかないと。ディフェンスでは、前に出るシステムを取り入れているので、ブレイクダウンでのボールの取りどころの見極め。集散を速くして、もっとファイトする。そこの判断をよくして、我慢して、粘り強く戦っていきたい。ディフェンスでもアタックでも常にみんなが同じ絵を見られるようなチームをつくっていきたい」
――岩渕HCは今後も今回のメンバーをベースにワールドシリーズを戦っていくことを宣言しています。新チームの可能性に関してどう感じていますか?
坂井
「ここにいるメンバーが日本のセブンズの代表であるという誇りを持って戦っていく。トップリーグが終わったら来るメンバーがいるとも聞いているが、『そういうメンバーなんて、いりませんよ』と胸を張って言えるくらいにステップアップしていかなといけない。もちろん、いろんなメンバーがセブンズに来てくれるのは嬉しいし、ウェルカム。でも、それで簡単に試合に出られるレベルでは『東京でメダル取ります』なんて恥ずかしくて言えない。
 今回、日本人だけのチームで6試合できたのはいい経験になった。それぞれ、自分の色を持っている選手が多いし、型にはまっていない。強みがはっきりしているので、個々人がしっかり課題に向き合いつつ、自分の強みを出していければいい」
(文:出村謙知)

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