国内
2018.12.02
ジャパンから戻った2人が導く ホンダがトップリーグ残留
ホンダWTBレメキ、走りから試合を決めるパスを放る(撮影:見明亨徳)
ホンダのキックをサニックスSOジェイソン・エメリーがチャージするも幕切れに(撮影:見明亨徳)
トップリーグの9〜16位決定トーナメント1回戦(12月1日、パロマ瑞穂ラグビー場)。
ホンダヒートが38-34で宗像サニックスブルースを下し、12位以上となりトップリーグに残留した。サニックスは入替戦出場(12月23日)が決まった。
ホンダには2人のジャパンが戻って来た。PR具智元(グ・ジウォン)とWTBレメキ ロマノ ラヴァ。ダニー・リー監督は接戦勝利後、「勝つことが重要と選手に話してきた。2人は本当のプロフェッショナル。チームに戻って来て支えてくれている。チームの底上げにつながっている。感謝したい」。
具は夏のチーム合宿、NECとの練習試合で、わずか20秒で左足靭帯を損傷し退いた。リハビリを経て11月のイングランド遠征で復活し、17日のイングランド戦、24日のロシア戦で欧州勢のスクラムに対抗した。
今週月曜日にチームに合流。この日の試合、「実はトップリーグ初キャップが嬉しい」と喜ぶ。昨年度、下部のトップチャレンジリーグでプロ選手生活を始めた。ケガで遅れてようやくトップリーグ公式戦デビューとなった。
試合では、サニックス3番パディー・ライアンが「伸びてくるスクラム」(具)で対抗し、十分に押すことができなかったという。
スクラムの場面ではホンダファンから「具さん!」と期待の声援が響いていた。その分、ジャパンで培ったディフェンスでサニックスのランナーを止めていた。タックルに入ってもすぐに起き、次の準備をする。ボールをもらうとペネトレーターとしても機能。
「ジャパンは自信になりました」と言いつつ「サンウルブズ、ジャパンとホンダには貢献できていない。Tトップリーグの目標ベスト8には行けなかったけど、トーナメント優勝(9位)を勝ち取る」。そして来年2019年のサンウルブズ後、憧れのワールドカップ代表を目指す。
もう一人の日本代表選手、WTBレメキも右タッチライン際でボールをもらうとゲインを繰り返した。イングランド遠征にはケガで帯同できなかった。ホンダへ戻り2週間、じっくりと調整した。
後半23分にサニックスがトライで31-27と追い上げた。33分、レメキはサニックス陣22メートルのスクラムからボールを受け取る。ライン際を走りSH山路健太へパス。サニックス選手にあたったボールを山路が左隅へ押さえた。難しい位置のコンバージョンを替わって入ったSO朴誠基(パク・ソンギ)が決めて38-27へ。35分、すぐにサニックスがこちらも2015年ジャパンのカーン・ヘスケスがトライを返す(コンバージョン成功で38-34)。
試合の幕切れは劇的。試合終了のホーンが鳴った。ホンダは自陣スクラムを得た。蹴りだせば終了の場面。山路のパスを乱れた。拾った朴が蹴るも低い弾道でサニックスがチャージ。混沌としボールが出ない中、ノーサイドに。最後のボールはサニックスが手にしていた。
朴は「最後は死にかけた。ハーフは後ろのFB(FBエイダン・トウア)に放ったようですが、僕は(エイダンが)いないと思っていた。もっとコミュニケーションをとらないと」と反省した。敗れたサニックスの藤井雄一郎監督は「最後は続けるでしょう」と憤まんやるかたなく言葉を詰まらせた。それだけにレメキのラストパスが最後で決め手となった。
(文:見明亨徳)