国内 2018.10.05

シャープな走りと家族愛。ヴァイレアは、日体大に黄金期もたらしたい。

シャープな走りと家族愛。ヴァイレアは、日体大に黄金期もたらしたい。
日体大のハラトア・ヴァイレア。U20日本代表として挑んだ今年のワールドラグビーU20チャンピオンシップでは4トライを挙げ注目を集めた(撮影:向 風見也)
 今季から日体大ラグビー部に加わった留学生3名のひとり、ハラトア・ヴァイレアは、身長183センチ、体重95キロの体躯でWTBに入る。大きなストライドでの走りとオフロードパスが持ち味で、時折、SOの位置に入って防御を引き付ける。
 9月30日、東京・江戸川陸上競技場。加盟する関東大学対抗戦Aの第2戦目で、昨季の大学選手権で準優勝した明大とぶつかった。
 5−31と大きく差をつけられた後半12分だ。敵陣深い位置右で鋭い突破とオフロードパスを繰り出す。そのままボールがつながった先へサポートに走り、インゴール手前で再度パスを受け取る。フィニッシュ。直後のゴール成功で12−31と追い上げることとなった。この日のヴァイレアは怪我明けとあって周囲は「まだ本調子じゃない」と見るが、才能の片りんなら見えたと言えそうだ。
 最後は敗れるもスコアを17−31とし、期待の新人は「相手も強かったけど、うちの選手も身体を張って、アタックもつながった」と話した。
 ラグビーは8歳で始めた。「おじいさんとお父さんがラグビーをやっていて、その道へ向かって」。父はアカペイで、祖父はなんとハラトア。孫が祖父と同じ名前を授かるあたりに、一族における祖父の存在感がにじむ。
 来日を決めたのは、家族のためだ。15歳にして異国で暮らし始め、「このまま日本でプレーを続ける」。千葉・日体大柏高では全国大会とは無縁も、高校日本代表に選ばれるまでになった。
 今年は20歳以下日本代表でも活躍した。国際舞台では腰高なタックルが弾かれる場面もあったが、この日はその課題を解消したような。相手の懐に鋭く突き刺さり、押し戻す。当の本人は「いろいろな有名な人の動画を見て、真似していきました」。ソニービル・ウィリアムズ、ライオネル・マプーら、アウトサイドBKの名手のタックルの間合い、身体の使い方などを観察し、練習で試しているという。
 いまは日体大のレギュラー選手。先輩との関係性構築について聞かれると、「いまは、怖くないです。皆、ワンチームになって頑張っています」と殊勝に応じる。ちなみにインタビューは全て日本語で応じる。
 今季の目標は、「昔に、戻りたいと思います」。その心は。過去に大学日本一2回という日体大の黄金期を再現したいという。
 10月7日、東京・帝京大百草グラウンドで大学選手権9連覇中の帝京大とぶつかる。
(文:向 風見也)

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