国内 2018.09.14

代表復帰に文化の醸成。リコー3年目のリーダー陣、堂々たる決意。

代表復帰に文化の醸成。リコー3年目のリーダー陣、堂々たる決意。
第2節の東芝戦でぶつかりにいくリコー副将の松橋周平(撮影:志賀由佳)
 もっと試合に出して欲しかった。そう思えるほど、状態は上向きのようだ。
 9月9日、東京・駒沢オリンピック公園陸上競技場。リコーの松橋周平副将が、開幕2連勝を狙って国内最高峰トップリーグの第2節・東芝戦に先発。ノックオンを誘うタックルと壁を鉄球で壊すようなラインブレイク、前半27分の力業でのトライと存在感をアピールした。
 しかし、10−17と7点ビハインドの後半12分に交代を告げられた。神鳥裕之ゼネラルマネージャー兼監督いわく、「彼のパフォーマンスが悪いわけではなかったのですが、流れを変えたかった」。試合を終えたばかりの松橋は、「行ける気がしていた。前も見えていましたし。…悔しいです」と応じる。
「(状態は)悪くないです。徐々に試合を積んで、感覚的に戻ってきている。もっともっと僕の良さが出せると思っているし、もっと良くなる。ただけがをしていただけではなく、強くなって帰ってきたと思っているので」
 一昨季のトップリーグで新人賞に輝いたNO8の松橋は昨秋、日本代表の活動期間中に右ひざ前十字靭帯のけがを負っていた。メスを入れてからは母校の明大で知り合った理学療法士の真木伸一氏を頼り、再発防止のための身体作りや場当たり的でない身体操作のメソッドを体得してきている。東芝戦でのフル出場を強く希求するのは、自然な流れだった。
 今季開幕直前にカムバック。目指すはチームの優勝と、来年のワールドカップ日本大会への出場だ。真木氏が東京・国立で開業した「Re-Vive」へ通う理由を「何かを変えないとワールドカップには行けないとわかっていたので」とし、松橋は続ける。
「頭を刺激して、身体を動かす。感覚だけでやってしまうと(プレーの)いい悪いができてしまうので、常に高いパフォーマンスを発揮できるように意識して動く…。そのためにまず、けがをしない体づくりと操作を覚えないといけない…。もう、けがはないです。一生しないと思います」

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リコーブラックラムズをけん引する新主将の濱野大輔(撮影:志賀由佳)
 この松橋と同期入団でチームの主将を任されるのは、CTBの濱野大輔だ。現在大学選手権9連覇中の帝京大では、選手育成に携わる学生コーチを務めながらレギュラー選手としても活躍。現在の主将業には「楽しみしかないです。自分自身には足りない部分もありますが、そこをレベルアップさせられるのが楽しい。プレッシャーをエネルギーに変えてやっていけているので、苦労というものはないです」と言い切る。はつらつとしている。
「いままでのブラックラムズは元気がないとそのまま下っていくチームだった。僕は、エナジーを選手たちに与えていけたら。松橋もエネルギッシュでタイプとしては似ている。年齢に関係なく、このチームをよくしていけたらと思います」
 8日前、ホンダと39−34という打ち合いを演じていた(東京・秩父宮ラグビー場)。初黒星を喫した東芝戦でもキックチェイス時のラインを乱しており、防御を看板とするチームにとっては不本意な状況が続いている。
 組織防御は、フィールドに立つ全員がチーム内ルールを守ってこそ成立する。新外国人の加入などでメンバーが入れ替わるリコーにあって、濱野はリーダーとして「ワンラインで(守ること)を意識していますが、1人だけ飛び出すとそのシステムが崩れやすくなる」と、真剣に課題克服を目指す。
「僕らリーダーが高い意識を持ってやるのも大事なのですが、その他のメンバーに意識を高く持ってもらうように促すのも大事。リーダー側からもどんどん発信していく。リコーブラックラムズはいい上昇気流に乗ってきていると思うので、この調子を落とさないように、松橋と一緒にやっていけたら」
 チームは15日、福岡・レベルファイブスタジアムでコカ・コーラとの第3節をおこなう。所属するホワイトカンファレンスで8チーム中4位内に入ることが優勝争いへの最低条件とされるなか、シーズン初の勝ち越しを目指す。
(文:向 風見也)

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