国内 2018.09.09

ヤマハがクボタに辛勝 セットプレー苦戦も「メンバー交代でうまく舵切れた」

ヤマハがクボタに辛勝 セットプレー苦戦も「メンバー交代でうまく舵切れた」
タックルされてもなかなか倒れないヤマハの長身LOリチャード・アーノルド(撮影:大泉謙也)
 近年のジャパンラグビートップリーグで優勝争いの常連となっているヤマハ発動機ジュビロが、昨季11位のクボタスピアーズに苦しめられたが、20−18で競り勝った。
 9月8日に東京・秩父宮ラグビー場でおこなわれたホワイトカンファレンスの第2節。
 前半の主導権を握ったのはクボタだった。「風上で、しっかりコントロールできた」とキャプテンのSO立川理道は振り返る。
 クボタはPGで先制すると、相手の反則も多く敵陣で攻め続け、23分にはラインアウトからモールで押し込んだ。37分にもチャンスとなり、ラインアウト後、オレンジ色のジャージーが塊になってインゴールになだれ込んだ。
 一方、ヤマハは自慢のスクラムで反則をとられ、ラインアウトも不安定だった。流れを悪くし、3−18と15点ビハインドで折り返す。「セットプレーであれだけ崩れてしまって…。あれではヤマハスタイルは成立しない」と試合後語ったのはゲームキャプテンを務めたPR山本幸輝だ。
 しかしヤマハは後半早々、デューク・クリシュナンが右タッチライン際を駆け上がってサポートしたSH吉沢文洋がゴールに持ち込み、流れを変える。途中からメンバー交代でスクラムも改善し、最後の20分は攻める時間が長く続いた。
 62分(後半22分)、敵陣深くのスクラムから攻め、パワフルなFLヘル ウヴェがインゴールに突っ込み、コンバージョン成功で1点差。そして72分、FB五郎丸歩がPGを決め逆転した。
 クボタは、肉離れを起こした大物NO8ドウェイン・フェルミューレンを後半欠いた影響もあって前半の勢いを保つことはできなかったが、76分、10フェイズを重ねて敵陣22メートルラインに近づき、ポスト正面でPGチャンスを得る。しかし、後半から出場でキッカーを務めたFBゲラード・ファンデンヒーファーが失敗。結局、これで明暗が分かれることとなり、ヤマハが苦しみながらも連勝で総勝点を9とした。
 クボタは開幕節のパナソニック戦に続き、またも僅差で敗れたが、ボーナスポイントを獲得し、総勝点2となった。
 敗れたクボタの立川キャプテンは、「後半は風下でのプランを持っていたが、こちらのペナルティで、エリアとリズムを失ってしまった。後半はじめにトライされ、まだスコアでは勝っていたが、個々がそれでプレッシャーを感じてしまった」と悔やむ。
 フラン・ルディケ ヘッドコーチは、「この試合に向けては、しっかりと狙いを持って良い準備ができた。前半はそれが反映されたと思う。勝利のためには、80分間100%で臨むことが大切。後半は相手にプレッシャーをかけきれず、こちらは一つチャンスを逃しもした。それがこの結果につながった」と敗戦を振り返った。
 一方、勝ったヤマハの清宮克幸監督は、「毎年、クボタさんとの試合は後半15分くらいまでは競る。きょうはリードされて折り返したが、点差自体は想定内だった。ただ、強みを持っている部分が機能しなかったのは大きな要素。メンバー交代でうまく舵を切ることができた。相手にPGを外してもらって勝てた試合です」とコメント。
 山本ゲームキャプテンは、「次は、『1試合でガラッと変わった』と言ってもらえるくらいに、改善したい」と力強く語った。

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ルアン・ボタがキャッチし、モールを押し込むクボタ(撮影:大泉謙也)

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