セブンズ
2018.07.22
男子日本代表W杯セブンズ8強逃す。フィジーに健闘も、指揮官、自分にカツ!
危なげなく勝ったウルグアイ戦。写真は吉澤太一。(撮影/松本かおり)
4月の香港(コアチーム昇格大会)で苦戦したウルグアイに初戦で完勝。のぼり調子にあることをうかがわせた。
しかし次の壁は厚かった。
7月20日に開幕したラグビーワールドカップ・セブンズの初日、男子セブンズ日本代表は1回戦に33-7と完勝して良い滑り出しを見せた。しかし、1回戦シードのフィジーと対戦した次戦は10-35。8強入りは成らなかった。
開始37秒で先制トライ。日本代表は大舞台での初戦で、これ以上ないスタートダッシュを見せた。ボールを大きく動かしている途中、ジョセファ・リリダムが仕掛け、走り切った。
3分過ぎにはツポウ テビタがインゴールに入り、4分28分には再びリリダムがトライラインを越える。6分過ぎには坂井克行もトライを奪い、26-0として前半を終えた。
後半1分過ぎにウルグアイにトライを許すも、最終的に33-7と完勝したこの試合。4月のコアチーム昇格大会で対戦したときには、前半を12-7と競った(最終的には26-19)相手に26点差をつけて勝った。
今回そのウルグアイに突け入る隙を与えなかった理由を岩渕健輔ヘッドコーチは、「15人制でも7人制でも)ワールドカップで初戦に勝つのは難しい。(2015年の15人制ワールドカップ以外)日本ラグビーの歴史上、ほぼなかったはずです。だから、初戦のことだけを考えてきた」と話した。
「システム、戦術より、一人ひとりのコンディションを上げて、一人ひとり高いパフォーマンスを出すことを考えてきました。全員が自分の持ち味を少しずつでも出してくれた」
ただ、トライを許したときの防御の乱れや、それ以外のシーンでも危なかった場面が何度かあったことに触れ、「(次戦の)フィジー戦は、14分間の中で少しでもそういう場面を見せるとやられる」と気を引き締めた。
ウルグアイ戦の5時間後にキックオフとなったフィジー戦では、その言葉が現実となった。10-35で敗れた試合は、パスのミスをきっかけに、クイックスローインからアンストラクチャーの場面を攻め切られて、逆転され、突き放されたものだった。
しかし、ただの逆転負けではなかった。この試合、日本代表の立ち上がりの集中力は素晴らしかった。
日本代表はこの試合、セブンズの王者に対し、前半を10-7とリードした。
先制点は2分37秒。ラインアウトから攻め、ジョセ・セルがゴールラインに迫り、副島亀里ララボウ ラティアナラがインゴールにボールを置いた(コンバージョンキックは入らず)。
6分過ぎにトライを奪われ逆転されるも(5-7)、サクラのジャージーは前半終了間際にまたも敵陣深く攻め入る。相手反則を誘った後、PKからの攻撃をセルがインゴール右スミに置いて10-7とした。
前半、最初に敵陣へ切れ込んだのは坂井克行だった。先発7人中、外国出身選手6人を起用した中で唯一の日本生まれだった男はスペースにうまく仕掛けて前進。試合後には、健闘の理由をこう話した。
「この試合のテーマはロケットスタートでした。いい集中力でやれた。ボールを持った選手がスペースに仕掛け、捕まるときには低く、強い姿勢をとることが大事だった。そうやるとフィジーは複数人がラックに寄って、素早く次を攻めると外が余ることは分かっていました」
「外国出身選手6人が並ぶと、やっぱりパンチ力がありますねえ」と言った。
そんな展開も後半開始後の55秒、攻撃中のパスが大きく乱れ、タッチラインの外に出たところからの速攻で逆転された。クイックスローインから崩され、走り切られる。そして2分後には、ふたたび同じようなパスミスから崩される。今度はラインアウトから攻められ、この攻撃も守れなかった。
その後2トライを重ねられ、最終的には大きく差をつけられた。
岩渕ヘッドコーチは戦いをこう振り返った。
「準備をしてきたことが基本プレーのミスで乱れ、そこを突かれてしまった。前半は想定通りのプレーを出せたが、それでもミスは痛かった。簡単に失点してしまったところがあった。あと5点リードしておきたかった」
外国人選手6人先発の布陣については、「先手を取るのに、それがいちばんいいと思いました。選手たちは考えた通りのパフォーマンスを見せてくれましたが、それが7分しか続かなかった」
「手応えは一切ない」ときっぱり言った。
「フィジーはこの大会へ優勝しに来ているが、私たちはこの試合に勝ちに来た。その結果がこれですから反省しかない。6週間ですが、強度を上げながらトレーニングをしてきましたが、ああいった基本的なプレーにミスが出た。それについては、個人の問題ではなく、あそこでうまくプレーできる練習を組み立てられなかった自分の責任を感じます」
男子セブンズ日本代表の2日目(現地時間7月21日)の初戦はカナダ(チャレンジトーナメント1回戦/9位〜16位決定戦)。指揮官は、「セブンズは、ここからがきつい。2日目、3日目と力の差が出るので、今日の反省を活かして戦う」と言った。