国内 2018.06.27

聖地・秩父宮ラグビー場での短く、濃密な時間。それぞれのオールスターゲーム。

聖地・秩父宮ラグビー場での短く、濃密な時間。それぞれのオールスターゲーム。
仲間と勝利を喜ぶリーグ戦5部選抜の阿南怜主将(写真中央)。(撮影/松本かおり)

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リーグ戦6部選抜の根本隆平主将は積極的にプレーした。(撮影/松本かおり)
 一生で一度かもしれない。
 順天堂大学の阿南怜(あなみ・れい)は、そう言った。
 6月24日におこなわれた関東大学オールスターゲーム。対抗戦選抜×リーグ戦選抜がおこなわれる前に、下部リーグのセブンズ試合が実施された。阿南は、リーグ戦5部のキャプテンとして憧れの場所、秩父宮ラグビー場のピッチを駆けた。
 19-17。リーグ戦5部選抜は接戦を制して勝利を挙げた。
 試合終盤に逆転し、ラストプレーは6部選抜の反則でPKを得たシーン。攻めて、秩父宮でのプレーをもっと長い時間楽しむかと思われたが、タップキックから外に蹴り出して試合を終えた。
「そうですね。もっとプレーすれば良かったですね。でも、(5部選抜は6部選抜に)2年連続で負けていたので、勝ちにこだわった。楽しんで勝てて、嬉しいです」
 阿南主将は、「もう二度とないかもしれない」聖地でのプレーを存分に楽しんだ。
 今回のメンバーで集まって練習できたのは前日の1時間だけ。だから主将は、「戦術の徹底は難しいので、声かけだけは積極的にやっていこう」と仲間に言った。
 順天堂大学ではスポーツ健康科学部に学び、将来はトレーナーを目指している。鎌倉学園高校時代は野球をやっていたが、大学入学後にラグビー部の門を叩く。
「トレーナー希望で入部したのですが、2年生のときからプレーするようになりました」
 下部リーグ所属の選手にも、秩父宮ラグビー場でプレーできるチャンスが与えられるこのオールスターゲームについて、「他校の人たちとプレーする機会も含め、いい刺激をもらえる。そして、こんなに素晴らしいグラウンドで、多くの人たちが観る中プレーできるなんて、ラグビーをやってて良かったな、と思いました」と感激の表情だった。
 6部選抜チームを率いた根本隆平主将は、今回の選出が3回目だった。しかし、何度プレーしても秩父宮ラグビー場でのプレーは楽しいと笑った。
「都立高校(小平西)の出身で、花園の都予選決勝を観に来たりしていた憧れの地でした。そこでプレーできるチャンスをもらえて、本当に嬉しいですね。勝ちたかったなあ。2点差なので、僕のゴールキックが決まっていれば…と思います」
 自身のプレーを悔やみながらも、笑顔のままだった。
 和光大学でプレーしている同主将。部員は8名(他に女子マネージャー2人)と少ないから、横浜商科大や麻布大、明星大とは、日常的に集まって、合同練習をおこなっている。
「だから選抜チームでも顔見知りの選手が多くてやりやすかったです。横浜市立大の選手が一人だけいたので、彼へのアプローチをちゃんとやろうとみんなで話し、いい雰囲気でプレーできたと思います」
 オールスターゲームのおかげで手にした一生の想い出。
 多くの若者にとって、夢のような一日だった。

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