国内 2018.04.26

ボールキャリーで見せる リコー新人・金宣求

ボールキャリーで見せる リコー新人・金宣求
本当はソウル大入学を目指し附属中へ入学の金(撮影:見明亨徳)
 トップリーグを昨季7位で終えたリコーブラックラムズ。今年こそ念願のTOP4入りを目指したい。
 3月、2018年新人選手5人を発表した。PR西和麿(帝京大)、筑波大からLO永井達啓、SH米村龍二の2人、そして明大SO堀米航平。唯一の外国出身にCTB金宣求(キム・ソング)が名を連ねた。
 金は1992年4月6日生まれ(26歳)、184センチ、103キロ。2017年11月、兵役を過ごした韓国軍体育部隊(尚武)を除隊した。12月、尚武が流経大で練習した際に同行。東芝ブレイブルーパスに入団したLO梁大炴(ヤン・デヨン)とともに日本チームのテストを受けた。
 3月に来日しチームへ合流。平日チーム練習に参加し、日本のラグビーを吸収している。
「リコーの練習メニューは韓国で経験したことがない新しいものもあり、大変おもしろい。選手は実力があり、自分もたくさん学べています」
 意外にも日本を志したのは遅い。尚武の時だ。「ビン先輩(諸葛彬/チェガル・ビン。NTTコムシャイニングアークスCTB)がトップリーグで活躍するのを見て憧れました」。諸葛は、ソウル大附属高、延世大でも金の先輩にあたる。2014年に尚武を終えてNTTコムに加入。豪快な突破で見せた。しかし2016年10月試合中に脳梗塞で倒れた。選手は引退し翌年からサポートスタッフとしてNTTコムを支えている。
 金がラグビーを始めたのはソウル大附属中3年の時だ。体育の授業で楕円球に魅了された。両親(キム・イルさん、コ・ミョンフィさん)など家族にラグビー経験者はいない。ソウル大附属に入学したのも韓国最高峰のソウル大入学を目指したためで、勉強が中心の生活を送っていた。しかし魅力が勝った。最初はFLとCTB、高校から緊張感がある大好きなCTBだ。
 金も自信があるプレーは「ボールキャリー」とビン先輩と同じ。しかし「走るスピードは少し遅いところがある」という。韓国代表経験は左膝のケガもあり2016年ARC(アジアチャンピオンシップ)香港戦にCTBで出場した1試合だけだ。
 現在はウェート、フィットネスからチームプレーまで、まずはチーム環境に慣れ、基本スキルを向上させることが課題だ。「リコーの練習環境は良く、気にいっています。毎日毎日楽しく過ごしている。チームメートとは簡単な日本語、英語で話しています。食事もクラブハウスで食べることができるので栄養管理もできている」
 リコーに韓国から入団するのは2010年シーズンに所属したLO金永男(キム・ヨンナム。現在は韓国ミョンソク高コーチ)以来だ。
 先輩たちも乗り越えたもの。それは日本では試合に出るためのチーム内競争だ。リコーCTB陣には5年目の二人、牧田旦や日本代表のアマナキ・ロトアヘアら実力者が顔を揃える。「一生懸命頑張ります。競争に勝つ自信があります。そして日本で長くラグビーを続けたい」(金)と決意を述べた。
 リコーの新人5人は、5月19日開催、「ファン感謝祭2018」がお披露目の舞台になるだろう。
(文:見明亨徳)

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