国内 2018.04.26

箕内拓郎&菊谷崇&小野澤宏時が、新アカデミー設立で伝えたいこととは。

箕内拓郎&菊谷崇&小野澤宏時が、新アカデミー設立で伝えたいこととは。
写真左から箕内拓郎氏、小野澤宏時氏、豊田浩之氏、鈴木貴人氏、菊谷崇氏(撮影:松本かおり)
 ラグビー元日本代表の箕内拓郎氏、菊谷崇氏、小野澤宏時氏らが4月25日、都内で小学生を対象としたスポーツ教育事業「ブリングアップアスリートソサイアティ」「ブリングアップラグビーアカデミー」「ブリングアップアイスホッケーアカデミー」の設立を発表した。
 テストマッチ(国代表の真剣勝負)への出場数を表すキャップ数は3人合わせて197という豪華指導陣が、競技力の根幹を支える若年層指導に新風を吹かせる。「ソサイアティ」の活動では、競技の垣根を超えてコーチング手法を更新。各競技の「アカデミー」で世界に通用するトップアスリート育成に力を注ぐ。
 豊田TRIKE株式会社代表取締役の豊田浩之氏が代表を務めるこの事業では、アイスホッケー日本代表前監督の鈴木貴人氏が6月から「アイスホッケーアカデミー」を実施する。
 将来的には、菊谷氏らが籍を置くマネジメント会社・ジェイアスリートプラスに所属する元アスリートらを巻き込む形で複数競技のアカデミーを開設したいようだ。2003、2007年のワールドカップで主将を務めた48キャップ保持の箕内氏は、こう話す。
「いくら選手を育てたいと言っても、僕らコーチ自身も(他競技の指導者と)連携を取って勉強しないといけない。コーチ同士の意見交換会、合同イベントなどで我々が交流することで、スポーツ間での交流も可能になる。普段ラグビーを観ている方がアイスホッケーを観るようになったり、その逆のケースが起こしたりとスポーツ界での絆を作って、スポーツ界に貢献できるのではという思いを持っています。最終的には、いろんな競技が集まった総合スポーツクラブの設立ができたらと思います」
 一方で「ラグビーアカデミー」は、東京都調布市のフットサルコートで5月9日に始動。ワールドカップ3大会連続出場などで81キャップを得てきた小野澤氏、2011年のワールドカップで主将を務めて通算68キャップ保持の菊谷氏が中心となり、毎週水、木曜日に小学校低学年、中学年、高学年にそれぞれ70分ずつの指導をおこなう。
 毎週末にチームとして活動する各地のラグビースクールを学校に例えるとしたら、今度の「アカデミー」は塾のような位置づけか。いまも福井県でプレーを続ける小野澤氏は「ゲームを中心とした指導をやっていきたい」とし、こう続ける。
「学習者は、ゲームなどで夢中になって身体を動かしている時に一番多くのことを学ぶ、という論文もあります。日本ラグビー協会の教本にも『ゲームを中心とした指導を…』といったことが書かれている。ただ、いまの現場でやられているのは『ゲーム性を持たせた練習』ではなく『最後のゲーム=試合に向けたドリルの積み上げ』なんです。勝ちたいという動機付けができている人には、ドリル系の練習はすごく大事。ただ、最初の一歩目のところでおもしろいゲーム環境を設定してあげる必要がある。(従来のラグビースクールとは違う)新しいチーム構成のなかでどう問題解決ができるのか…。そこにフォーカスした練習方法をやっていきたいです」
 日野自動車のFWコーチも務める箕内氏は、「身体のケアなどグラウンド外のことを含めた情報を共有できたら」。菊谷氏は高校日本代表のFWコーチとして3月に出向いたアイルランド遠征中のエピソードを、このような形で振り返った。
「アイルランドの選手は状況判断力が高かったんです。ジャパンが(防御で相手との間合いを)詰めるとわかったら、セカンドフェーズ目で(背後のスペースへ)キックを蹴られるんですよ。高校ジャパンの選手は素晴らしい。言われたことは絶対にできる。ただ、(スペースが)空いた瞬間にそこへ蹴られるだけの状況判断ができるかと言えば、まだまだ伸びしろがあると思うんです。小学生のうちからゲーム性のある練習で状況判断ができる、コミュニケーションが取れるという礎を築きたいと思っています」
 プロ選手の引退後のキャリア形成の充実化、国内ではユニークに映るスポーツ指導法の提案などが期待される。
 入会希望者は(https://j-athlete.jp/news/832)へ。
(文:向 風見也)

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