コラム 2018.03.30

トンガで“女子はラグビー禁止”に非難 「伝統尊重と情熱追及は矛盾しない」

トンガで“女子はラグビー禁止”に非難 「伝統尊重と情熱追及は矛盾しない」
2017年のラグビーリーグ(13人制)ワールドカップでトンガ代表を応援する女の子
(Photo: Getty Images)
 3月中旬、トンガの教育省が「トンガ人女性の尊厳を守り、トンガの文化と伝統を維持したい」という考えから、女子がラグビーとボクシングをすることを禁止するよう、すべての公立学校に命じていたことが明らかとなり、波紋を呼んだ。
 その禁止令は、タッチラグビー大会に参加するはずだったトンガ高校の女子チームが女性であることを理由に試合出場できなかったことで問題化され、明るみになっていた。
 しかし数日後、国内外から非難されたアキリス・ポヒヴァ首相は、それはトンガ政府の政策ではないと釈明した。
 首相は「スポーツは国民の健康と福利に良いものであり、政府は、差別なしにすべてのスポーツにおいてトンガの全学生の参加を積極的に促している。また、その機会を提供するのは政府の責任である」とコメント。ラグビーやボクシングのようなスポーツに参加すべきかどうかは、個々の学生とその両親が決めることだと述べた。
 禁止令が明らかになった直後、トンガの女子セブンズ代表ヘッドコーチは、「パシフィックゲームズや2020年のオリンピックを目標に女子選手たちはがんばってきたのに、道を閉ざすことになります。女子ラグビーは男子よりもオリンピックに出場するチャンスが大きいのに」と遺憾の意を表明していた。
 そして、最も強く批判していたひとりが、女子砲丸投げのオリンピック金メダリストであるヴァレリー・アダムスさん。彼女はニュージーランド国籍だが母親がトンガ出身で、「トンガ女性は自由に自分の運命を選ぶべきであり、誤った頑固な誤解によって拘束されることはありません。伝統を尊重し、情熱を追い求めることは矛盾する必要はないのです」と語っていた。

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五輪で2回、世界陸上で4回も金メダルを獲得したことがあるヴァレリー・アダムスさん
(Photo: Getty Images)

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