海外
2018.02.25
クセにつけ込みスクラム優勢。サンウルブズ稲垣啓太が開幕戦で得た体感。
右から3人目がサンウルブズPR稲垣啓太。(撮影/?塩隆)
ラストプレーは試合途中からSOに入ったヘイデン・パーカーのPGだった。
そのひと蹴りで7点差とし、勝ち点1をゲットしたサンウルブズ。2018年シーズンの初戦(2月24日/秩父宮ラグビー場)は、25-32のスコアでブランビーズに敗れた。
PGで先制を許したものの前半だけで3トライを奪い、19-15とリードしてハーフタイムを迎えた。特に立ち上がりの時間帯を制しただけに、その勢いを維持できず、後半は失速したのが残念だった。
しかし、収穫があったのも事実だ。
そのうちのひとつがスクラムだった。
’15年にレベルズでスーパーラグビーデビューを果たし、サンウルブズ3年目となる1番(左PR)の稲垣啓太も、「スクラムは勝っていました」とはっきり言った。
ブランビーズのクセを把握できていた。
「相手はNZからスクラムを押してトライも取れるほどのチームです。その相手に優勢にやれたと思います。ブランビーズは、スクラムを組むときに足を下げるクセがありました。そこをこちらは(相手との距離を)詰めていく。常に相手を苦しい状態で組ませ、うまくやれました」
長谷川慎コーチの見つけた攻略法を、FW8人が集中力高く実行した。
後半の失速について、「反則を重ねてしまった。相手が何か違うことをやってきたわけでもないのに、自分たちが悪い意味で変わってしまい、簡単に相手にボールを渡してしまった」と振り返った稲垣。しかし、オーストラリア・カンファレンスで常に好成績を残す相手と、十分にやり合えた手応えも得た。
しっかりとした準備を重ねてきた結果だ。
「コンディショニングとフィジカルは、昨シーズンまでより上がっていると思います。プレシーズンマッチなしで臨んだ試合でしたが、試合で起こる(ブレイクダウンでの)強度より高いことをトレーニングでやってきたので心配はなかった」
4週間におよんだ苛酷なキャンプが、チームの根幹と個々の自信を支えていた。
試合経験の不足が原因でうまくいかないところもあったから、そこには修正の必要がある。
「試合の中でのコミュニケーション、細かい部分が心配でしたが、やはりうまくいかないところがあった。例えばセットピースから一発でトライをとられたところ。ああいうシーンは相手も用意したプレーをやってくるわけですが、ディフェンス側もいいコミュニケーションを取れば的は絞れる。そのあたりを今後もっと高めていかないといけない」
今季第2戦、3月3日のレベルズ戦へ向け、気持ちを切り替える。
勝ち切るために、細部にこだわる。