海外 2018.02.21

サンウルブズに練習生として参加。荒井康植は指揮官から「モアトーク」と発破

サンウルブズに練習生として参加。荒井康植は指揮官から「モアトーク」と発破
別府合宿に参加していた頃の荒井康植(撮影:長岡洋幸)
 まだ終わったとは思っていないだろう。
 
 国内最高峰トップリーグのキヤノンに所属する荒井康植は、国際リーグのスーパーラグビーへ参戦するサンウルブズに練習生として呼ばれた。
 1月28日から別府、北九州、別府、東京と順におこなわれた事前キャンプに参加し、2月19日に短期招集期間を終えた。これで一度はサンウルブズを離れるのだが、北九州合宿中は「アピールすれば、メンバーにも加われる」と成り上がりを目指していた。再びチャンスをつかみたい。
 招集を知ったのはチーム始動の約1週間前。キヤノンの永友洋司ゼネラルマネージャーから電話で知らされたという。
「言われたときはびっくりして、『僕が?』と思っていたんですけど、いい機会だったので『参加します』となりました」
 合流直後の個別面談などはないなか、そのまま1日3度の練習が続く別府合宿へ参加した。チームミーティングを通して戦術を理解し、実戦練習へ加わった。
 荒井のポジションはSHだ。司令塔団の一角で、接点周辺からのラン、パス、キックでチームを動かさなくてはならない。日本代表の指揮官も兼ねるジェイミー・ジョセフ ヘッドコーチからは「モアトーク!」と発破をかけられていたという。もっとプレー中に状況伝達や指示出しをすべきという意味だ。
 北九州合宿に参加した正規スコッドのSHは田中史朗、流大といった年上の日本代表経験者だ。2人の動きや「トーク」から、荒井は刺激を受けたという。
「SHは一番、全体が見えていて、しゃべれないといけない。フミさん、流さんはずっと周りを見ながらしゃべっているので、もっともっと自分もしゃべらないといけない」
 佐賀工高から加わった帝京大では、最終学年で臨んだ2015年度に大学選手権7連覇を達成。多彩なオプションを繰り出す身長174センチ、体重80キロの24歳は、国際舞台でも「自分の強みであるパススキル、しっかりとサポートについてトライを取り切る足」を発揮したい。課題も直視していて、「身体を張ること、厳しいブレイクダウン(接点)での素早いさばき」を磨かんとしている。
 
 サンウルブズは日本代表強化を大義とするが、「あまりそこは考えず、1日1日を大切にしていけば次につながっていくと思います」。3週間強で地道に種をまいた。あとは花を咲かせるだけだ。
(文:向 風見也)

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