国内 2017.10.17

伸び盛り。増していく豊田自動織機・松本仁志の存在感。

伸び盛り。増していく豊田自動織機・松本仁志の存在感。
豊田自動織機シャトルズのCTB松本仁志(撮影:多羅正崇)
 昨シーズンは鮮烈な登場だった。
 トップリーグデビューとなった第10節ヤマハ発動機戦で、途中出場からいきなり初トライ。
 以降はセンターの定位置を確保し、第15節までの5試合で3トライ。
 その全てがチームにとってのファーストトライだったのだから、鮮やかだった。
「昨シーズンは1年目ということもあって、なにも考えずに思いきりできました。今シーズンは、アタック、ディフェンス共に、まずまずという感じです」
 本人は謙虚にそう自己分析するが、2年目の今シーズンは第8節を終えて7試合に先発中。欠かせぬ戦力としてチームに貢献している。
 天理中・高を経て関西大学に進んだ24歳は、この日、勝利の喜びを満喫している様子だった。
「コーラさんも展開してアグレッシブにくるチームです。今日はフォワードを中心に(試合を)作って、フォワードで圧倒するというところはできました」
 開幕節の話題をさらった近鉄ライナーズの劇的“サヨナラ”ドロップゴール――あの日を敗者の側で味わってから、約2か月。
 開幕7連敗を喫していた豊田自動織機シャトルズが、10月14日、静岡・エコパスタジアムで同じく0勝7敗のコカ・コーラレッドスパークスと対戦。
 鋭いディフェンスを土台に、フォワードが力量差を披露するなどして6トライ47得点。
 ホームゲームで待望のシーズン初勝利を手にした。
「織機はしっかり前に出るディフェンスから、ターンオーバーしてボールを動かす――ディフェンスからしっかりやるチームだと思っています」
 そのディフェンスこそ、CTB松本の得意分野。この日も的確なタックルを披露した。
 一方で、笑いを取るのは得意ではないという。
 関西出身の“大物”お笑い芸人とは一文字違い。
 関西(奈良)出身でこの名前だから、メリットもあればデメリットもある。
「初見で名前を紹介したら、絶対に憶えてもらえるというのは大きなメリットかなと思います。デメリットは、僕は正直おもしろくはないので(笑)。なにかおもしろい話をしてほしいと言われたらかなり困る、というのがデメリットというか(笑)。相手がビッグネームなので」
 昨年の『ジャパンラグビートップリーグ2016-2017 OFFICIAL FANBOOK』(選手名鑑)。
 自身のプロフィール欄外にあるひと言コメントは、「名前負けしない活躍を期待」だった。
 それが今年のオフィシャルファンブックでは「昨季大活躍。全試合出場目指す」に変わった。
 笑いではなくトライを取る――豊田自動織機の松本“仁”志の存在が、広く知られつつある。
 
 次節は10月21日、トヨタ自動車ヴェルブリッツと愛知・パロマ瑞穂ラグビー場で対戦。
“トヨタダービー”だ。
「この一勝が織機としても自信になったと思います。次は好調なトヨタ自動車さんなので、ディフェンスでしっかり止めて、いい流れをもっていけるようにしたいです」
 信頼の厚いディフェンスのみならず、度胸満点の突進、ラインブレイクから走り切るスピードを武器に、伸び盛りの24歳がダービーマッチに臨む。
(文:多羅正崇)

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