ワールドカップ
2017.10.09
世界を沸かす準備着々。W杯2年前イベント「大分ラグビーファンゾーン」大盛況
左から後藤翔太さん、首藤甲子郎さん、今泉清さん。3人とも大分ラグビースクール出身。
(撮影/松本かおり)
さすが「おんせん県」。熱い。沸いている。2年後に迫ったワールドカップへ向けて、大分のラグビー盛り上げ熱が高い。
10月8日、大分市いこいの道広場で「大分ラグビーファンゾーン2017」(主催/ラグビーワールドカップ2019大分県推進委員会)が開催された。これは、ワールドカップの試合開催地となっている同地が2年前イベントとしておこなったもの。駅前という最高のロケーションで様々なイベントが開催され、多くの人々が訪れた。
駅から足を運ぶと入り口付近にウェッブ・エリスカップが飾られ、世界の祭典がやって来ることを感じさせた。大分出身の俳優、竹内力さん、ラグビー界からスペシャルゲストを招いての「ステージイベント」や、大人も子どもも気軽にラグビーを体験できる「ラグビーアトラクション」、ワールドカップ開催地や参加国の郷土料理が味わえる「ワールドグルメ」のエリアが設けられた。ラグビーファンも、これからそうなる人も楽しめる趣向を凝らしたものがたくさん用意されていた。
国際色も豊かだった。
別府にある立命館アジア太平洋大学の留学生、ラグビー部が参加し、ハカのパフォーマンスを披露した。ニュージーランド協会のコーチが子どもたちにラグビーの楽しさを伝えるコーナーもあった。訪れた人たちの中にも外国出身者の顔があちこちに見られた。
ラグビー界からのスペシャルゲストは、大分出身の元インターナショナルプレーヤー、今泉清さん(元日本代表/元サントリー)、後藤翔太さん(元日本代表/元神戸製鋼)、首藤甲子郎さん(元セブンズ日本代表/元NECグリーンロケッツ)の3人だった。
3人とも大分ラグビースクールで、このスポーツの素晴らしさを知った。自分を世界に連れて行ってくれたラグビーの原風景がこの地にある。そんな場所にやって来るビッグイベントの成功を祈念しての催しだから、3人とも故郷への愛情たっぷりに想い出を語り、ラグビーの魅力を発信した。
中学校まで地元で過ごした後藤さんと首藤さんは、少年時代の記憶を懐かしんだ。進学した桐蔭学園(神奈川)、早大、トップリーグの舞台で活躍できたのは、大分で築いた基礎があったからだ。
首藤さんはラグビーを始めたきっかけについて、「父が好きだったけれどやれなかったスポーツがラグビーと柔道だったから、(少年チームに)連れて行ってくれた」と話した。
「幼い頃はやんちゃだったのですが、ラグビーには自分のやりたいことが詰まっていてすぐに熱中しました」
後藤さんは線が細く、最初はヘタだった自分がラグビーを続けたのは、「厳しかったけど恩師と呼べるコーチのことが好きで、一緒にラグビーをやりたかったから」と話した。
大分舞鶴高校で活躍して高校日本代表に選出され、早大時代はラグビー人気を過熱させた今泉さんは、「みなさんが思っている以上に、大分は自然とおいしいものに恵まれています」と故郷を離れてあらためて気づいたことを参加者に話した後、言葉を続けた。
「ワールドカップには、世界中からラグビーファンがやってきます。大分の魅力を伝えて、喜んでもらいまょう」
3人の中で、唯一ワールドカップのメンバーに選ばれた経験がある(1995年)。
「普段のテストマッチとはまったく違います。大会は1か月半も続く。そんなものが日本に、この大分にやってくる。そんな幸せなことはありません。ラグビーも、国際交流も楽しまないと」
2015年ワールドカップでのジャパン×南アフリカの映像を見ながらのフリートーク、大分のラグビーとワールドカップについてのトークショー、ルール解説と、一日中ラグビーの魅力を発信し続けた3人は、これからも故郷のラグビー熱を高めていくための協力は惜しまないと話した。
「これからの2年間、多くのイベントが開かれると思います。皆さん、次に来場されるときは自分の両側にひとりずつ、もう2人連れてきてください。そうやってラグビーを広げていきましょう」
そう呼びかけたのは今泉さんだ。イベントのフィナーレでは、「書の甲子園」で優勝したこともある中津北高校の書道部が「One Rugby, One Oita」の文字を書き上げ、来場者全員で「楕円桜」を歌った。
9月24日に大分銀行ドームでおこなわれたトップリーグ、キヤノン×ヤマハ発動機には1万8279人のファンが訪れている。おんせん県、世界を沸かす準備は着々と進んでいる。
大分県出身の俳優、竹内力さんのステージも盛り上がった。(撮影/松本かおり)
2015年W杯、ジャパン×南アフリカの映像を見つめる高校生たち。
あの興奮が自分の住む街にやって来る。(撮影/松本かおり)