女子 2017.07.07

フーパーになる。女子日本代表FL塩崎優衣、香港戦は「運動量で勝つ」。

フーパーになる。女子日本代表FL塩崎優衣、香港戦は「運動量で勝つ」。
低さ、激しさ、運動量で信頼を得る塩崎優衣。(撮影/松本かおり)
 アイルランドで開催されるワールドカップまで1か月だ。チームにとっては仕上げの時期。選手たちにとっては緑の国へ向かうための、最後のアピールの場となる。
 7月8日、15日に女子香港代表とテストマッチ(女子アジアラグビーチャンピオンシップ2017)を戦う女子日本代表。まずは8日、サクラフィフティーンが神奈川県小田原の城山陸上競技場に濃紺のジャージーを迎える。12時キックオフだ。
 7月7日の午前中に同競技場で試合前日練習をおこなったサクラフィフティーンの有水剛志ヘッドコーチは、チームの状態を「肉体、メンタルともいい状態」と話した。
「(試合は)ワールドカップに向けてのセレクションの意味合いも含んでいます。チームのパフォーマンスと同時に個人のパフォーマンスも見たい。(6月の)アイルランド、ウエールズ遠征で出た、『入り』と『ラスト』の10分、キックチェイス、自陣でのエリアマネージメントという課題をクリアできるように準備してきました」
 指揮官は、欧州ツアーで露呈した弱みの払拭を期待する。
 同ツアーに参加したSO山本実(日体大)がコンディション不良のため、8日の試合で10番を背負う福島わさな(追手門学院大)に司令塔を託す。15人制の経験がほとんどない福島への負担は大きいだろうが、センスの良さでアピールできるだろうか。
 有水ヘッドコーチは欧州ツアーで、大きな選手相手にも「自分たちのスタイルを遂行できれば戦える」と手応えをつかんでいる。
「ワイドに、そしてクイックにボールを動かしてアタックする自分たちのスタイルを出せたら通用する。ただ、そのためにはブレイクダウンとセットプレーが大事と考えています」
 昨秋のワールドカップ予選では香港に20-8で勝ったが、接点の激しさに思うような試合を展開できなかったサクラフィフティーン。目標のワールドカップ8強入りを実現させるためにも今回はブレイクダウンで圧倒し、武器である高速アタックを存分に発揮したいところだ。
 接点でのボール争奪戦で鍵を握ると見られるFW3列の一角を任せられたFL塩崎優衣(東京フェニックス)が言う。
「自分のラグビーの嗅覚をフルに使って、運動量でチームに貢献したい」
 タフネスで知られるオーストラリア代表FLマイケル・フーパーを理想とする慶應義塾大学総合政策学部の2年生は、そんな言葉で決意表明した。
 ワールドカップ予選のフィジー戦で初めてテストマッチに出場した塩崎。その試合では途中出場だったから今回が初めての先発となる。
 東京フェニックスではセブンズが主戦場だから、クラブの練習外の時間を使って代表サイドから指示されたメニューに取り組み、15人制仕様のフィットネスも高めてきた。5月までは太陽生命ウィメンズセブンズシリーズにも出場したが、それ以降は欧州遠征も含め15人制代表の活動にフルコミット。
「だから(15人制に求められるものにも)いまは不安がありません。自信がある。やってきたことを出し切りたい。運動量が自分の強みで仕事。いろんなポイントで体を張りたい。キックチェイスも武器にします」
 父・淳さんの影響を受け、小学校2年生の時に岡山ラグビースクールで楕円球を追い始め、その後転勤で東京へ。小学校5年生時からは杉並ラグビースクールでプレーを続け、都立青山高校でもラグビー部に所属した。
「いまは目の前のことに集中しています。明日の試合。そして来月のワールドカップに絶対に出たい。ここまでの活動、予選をともに戦った人たちの中にも、ここにいない選手がいます。その方たちの思いもつないで全力で戦いたい」
 その結果が2018年のワールドカップ・セフンズや2020年のオリンピックにつながればいい。
 ぶれない強い覚悟を持ってプレーできるのが塩崎の最大の強み。香港との第1テストでは、ボールあるところに背番号6あり、を具現化する。

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