海外 2017.02.25

伝わるディシプリンの高さ。王者ハリケーンズを支えるのは「結びつきの深さ」。

伝わるディシプリンの高さ。王者ハリケーンズを支えるのは「結びつきの深さ」。
「試合のいつから出るかはボスに聞いてくれ(笑)」と
ボーデン・バリット。(撮影/松本かおり)
 ピッと短い笛が鳴ると座っていた選手たちもスッと立ち上がり、コーチのもとへ一斉に走る。ビッグネームも若手も同じ。ゲームリハーサルが繰り返されるピッチでは、タッチキックを全員で全力チェイス。キャプテンズランのあちこちからディシプリンの高さが伝わった。
 2月24日の午後、秩父宮ラグビー場で試合前日練習をおこなった昨年のスーパーラグビー覇者、ハリケーンズ。サンウルブズとの試合でゲームキャプテンを務めるTJ・ペレナラ(SH)は言った。
「昨年のことは忘れて、今季も勝利を一つひとつ重ねていきたい。その結果として、またベストポジションに立てれば」
 サンウルブズについては、2月18日のトップオールスターズ戦の映像を見た。
「エネルギー、勢いを感じました。我々の方がいいパフォーマンスを見せる必要がある」
 ベンチスタートとなるSOボーデン・バリットは、「スーパーラグビーのチームはどこも、それぞれのスタイル、トレンドを出してくる。それはサンウルブズも同じ。アタックもデイフェンスもいい準備をして試合に臨みたい」と言った。
 昨季優勝のハリケーンズは今季のオープニングゲームでチームキャプテンのHOデイン・コールズと、世界最高クラスのSOボーデン・バリットをベンチスタートとした。昨季は怪我に苦しむも復活を果たしていた好ランナー、FBネヘ・ミルナースカッダーもハムストリングを痛めて来日を見送っている。しかし、決して戦力を落として今季のスタートを切るわけではない。サンウルブズと対峙するメンバーたちのレベルは高い。
 司令塔に入ったのはオテレ・ブラックはまだ21歳と若いが、落ち着いたゲームメイクが持ち味だ。2014年にNZ国内選手権、マナワツ代表のSOとして活躍し、同チームを頂点に導いた経験あり。’15年に19歳でスーパーラグビーのピッチに立ち、昨季までに7試合に出場している。コンビを組むSHのペレナラは、NZ代表キャップ29、スーパーラグビー79試合と高い経験を誇る超攻撃的9番だ。
 途中出場が予想されるボーデン・バリットは超高速SOとして世界に名を轟かせる存在で、この試合でFBに入った弟、ジョーディー・バリットは196?、96?とサイズに恵まれている。兄同様のスピードを持ち、視野も広く、コンタクトにも強い。サンウルブズにとっては厄介な相手となるだろう。
 リーダーシップだけでなく、ボールキャリアーとしても世界随一のHOであるコールズ主将やFLアーディー、WTBジュリアンのサヴェア兄弟など、高い個人技を持つプレーヤーも多いが、このチームの強さは、やはり密な組織力が支えている。2016年度は東芝でプレーし、この開幕戦でもWTBとして先発するコーリー・ジェーンは、チームの強みを「選手たちの結びつきの深さ」と言う。
 クリス・ボイド監督のもと、昨年は優勝、一昨年は準優勝という成績を残してたハリケーンズは、いまもっとも安定感のあるチームだ。サンウルブズとの好ゲームを期待しつつ、チャンピオンチームがトップレベルに立ち続ける理由を80分の中で数多く体感したいとも思う。

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