国内 2016.12.23

【第36回東日本中学校大会】進化する茗溪が4年ぶり優勝。本郷は初Vならず

【第36回東日本中学校大会】進化する茗溪が4年ぶり優勝。本郷は初Vならず
第36回東日本中学校ラグビー大会で優勝した茨城の茗溪学園中(撮影:松本かおり)
 12月23日、秩父宮ラグビー場で伝統の東日本中学校大会最終日がおこなわれ、決勝は茗溪学園中が2点差の接戦を制して4年ぶりの優勝を飾った。敗れた本郷中は初制覇にわずか届かなかった。また、3位決定戦では國學院久我山中が7トライを挙げて41−12と秋田北中を破った。
 茗溪の展開力×本郷の前への推進力。異なるスタイルが持ち味を出し合う好ゲームは終了間際にドラマが。2点を追う本郷が敵陣ゴール前でチャンスをつかむ。振り返れば昨年の3位決定戦。同じカードで同じように茗溪がリードして迎えたロスタイム、本郷がモールでトライを奪い逆転勝ちしていた。茗溪・芥川俊英監督、本郷・井口辰也監督ともに、その場面を思い出したという。特に芥川監督は「こういう場面でも止められるように痛い練習を積んできたので、信じるしかなかった」と振り返る。
 序盤から茗溪は素早い展開と工夫が散りばめられた攻撃で主導権を握る。前半13分には渡邊一飛のトライと大越勇気が難しいゴールを決めて14−7とリード。それでも本郷は譲らず、前半20分に相手反則で得たゴール前ラインアウトからモールを組んで、池田健郎がインゴールに飛び込む。14−12と茗溪が2点をリードして折り返した。
 後半は先に本郷がトライを挙げたが、茗溪は6分に反則から速攻を仕掛けて川尻圭人がトライ。さらに9分には今井惇平がトライを追加して28−19とリードを広げる。ただ、13分に茗溪が連続攻撃で敵陣に入った時、本郷の清水鳴哲がインターセプトからトライ。26−28とワンプレー逆転圏内に持ち込んだ。本郷の井口監督は「流れが来たかな」と感じていた。
 そして終盤に茗溪の反則で得たラインアウトからモールを組んだ。これに茗溪防御が人数をかけてでも止める。本郷は昨年同様モールに勝負をかけたが、インゴールは割れない。さらにロスタイムに中央寄りゴール前のペナルティから本郷はFWが勝負。ピックアンドゴーでじわじわと前に出ると、最後はもっともコンタクト力の強い福澤慎太郎がインゴールに飛び込んだが、グラウンディング手前でボールだけがこぼれ落ちた。
「時間がなかったので、これを止めて笑って終わる。それだけでした」と茗溪・大越主将。それにしても、2年連続、最後にこんな試練が待っているとは。昨年も出場していた大越は「昨年のチームの分まで」と気持ちを込めた。また、同志社大4年、大学選手権準決勝に進んだ兄・元気さんからは「先に秩父宮で勝てよ」と激励も受けていたという。
 茗溪は空間を攻める判断力に長けている。しかも、今季はFW、BK関係なく、空いているスペースを狙えるように練習を積んできた。だから、このタイミングしかないという状況で素早く走り込み、パスも出せる。さらに驚かされるのは、フラットに走り込む選手の外側に素早いフォローがつくことで大きいゲインも可能に。これは高校、大学レベルでも参考になる部分かもしれない。選手たちは、これら大きなアドバンテージを持って高校へ進む。
 本郷は9月の全国中学生大会で準優勝。そのとき目立った1対1の強さに成長の跡が見られた。決して逃げず、得点を先行されても乱れないメンタルは大きな長所。茗溪同様、中高一貫校だけに、これからの財産になる。
(取材:福田達)

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茗溪学園中の今井惇平にタックルする本郷中の選手(撮影:松本かおり)

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