その他 2016.10.06

アニメ「ALL OUT!!」特別インタビュー！清水健一監督

待ちにまった「ALL OUT!!」　いよいよ放送開始！

　10月6日からTOKYO MX、MBS、BS11ほかで放送が始まるラグビーアニメ「ALL OUT!!」。原作は、2012年から雨瀬シオリさんが「月刊モーニング・ツー」（講談社）で連載を始めた人気漫画だ。これまでラグビーを題材にした漫画やドラマはあったが、TVアニメの放送は史上初のことだ。

　その監督を務める清水健一さんは高校時代、ラグビー経験者。「最初、話が来たときは引きました」と笑う。

「ラグビーは人数が多いし、人が組み合ったりするから描くのに時間がかかる。やりたいな、と思っても実際にやろうとは思わないですよ」

　原作は、背が小さいことを気にしていた祇園健次が高校の入学式にラグビーと出会い、ラグビー部の仲間と成長していく姿が描かれている。

　清水さんも、まさに楕円球とは原作を地でいく出会いだった。通っていたのは千葉県内の設立されたばかりの某高校。

「足が速かったので体育委員と体育祭の応援団をやってて、ずっと先輩から誘われてたんです。で、体育祭が終わったあと、“しょうがないから入ります”と。1週間後が試合でした」

　監督は元日本代表、キャプテンが熱い性格というところまで原作と同じ。おまけに「タックルも全然怖くなかった。楽しかったです」

　これも主人公のセリフと同じだ。

　最初はWTＢで、2年生からSHに。20人を切る部員数だったが、3年間どっぷりラグビーに浸かった。「高校の同窓会は1回もないですけど、ラグビー部の集まりはいまだにありますね」

　もともと絵を描くのが好きで、絵本作家志望。絵を学ぼうと高校卒業後は東京デザイナー学院へ。そこで友人の作ったアニメに魅かれて、アニメーターの道に入った。海外作品も手掛けた実力派だ。

「以前、ラグビー部の後輩からラグビーの漫画があると聞かされてたんです。まさかそれが自分のところに来るとは」

　依頼を受けたのは昨年の6月。「絵を描くのは相当しんどいと思っていましたが、原作に惚れ込んだプロデューサーがあまりに熱く語るので、そんなにやりたいなら引き受けましょうと」

　製作が正式発表されたのは昨年9月、W杯の開幕前日のこと。テレビアニメで発表から放送まで1年以上あるのは珍しいケースだが、その間に南ア戦勝利、リオ五輪と偶然にもラグビーの注目度が高まった。盛り上がりを受け、ラグビーファンやアニメファンから幅広く注目されている。

　放送は10月から半年間。毎日制作に追われるが、原作の持つ熱をいかに伝えるかに心をくだく。清水さんは現役のアニメーターとして作画する機会もあるが、アニメ制作において各ポジションにディレクションをしていく、いわば現場の総責任者。

「雨瀬先生の絵には“絵力”があって、見せどころの絵がすごくかっこいい。それをどう画面に出すか。なんとか原作の持つ熱さに追いつきたいと思ってやってます」

　ラグビーのルールも以前と大きく変化している。

「僕がやってた頃は、ラインアウトで人を持ち上げるなんて見たこともなかった（笑）。そのへんの戸惑いはあります」

　スタッフの大半がラグビー未経験ゆえ、ラインアウトの位置合わせやSOとCTBの距離感、原作のコマとコマの間をどう埋めるかにも苦労するという。

　音にもこだわった。音響監督はタックルやボールを蹴る音を忠実に再現するために、わざわざ大学チームのグラウンドへ録音に出かけたという。

「可能であれば、自分がヘッドキャップをしてタックルに入った衝撃音を伝えたい。タックルした時の骨と骨がぶつかる音。テレビで表現できる限界まで頑張って伝えたい。いま思っているのは、ヘッドキャップをして疾走しているとき、ヘッキャの間を抜ける風の音を出せたらいいなと。そういう音を作ってくれと、頼んでいます」

　意外なことに「試合を見るのはあまり好きじゃない。身体中、痛くないと楽しくない」。まさに骨の髄までプレーヤーなのである。

　きっとラグビー経験者には懐かしく、そしてラグビーを見るのが好きな人には、新しい発見がたくさんあるアニメになりそうだ。

【清水健一（しみず・けんいち）】

1967年1月28日生まれ。49歳。千葉県出身。

高校時代はラグビー部。ポジションはSH。東京デザイナー学院卒。

代表作は「寄生獣　セイの格率」「アベンジャーズ　コンフィデンシャル：ブラック・ウィドウ＆パニッシャー」など。

趣味は「アメリカのTVドラマを観ること」

＜放送情報＞

■関東： TOKYO MX／毎週木曜日 24：00〜24：30　10月6日スタート

■関西： MBS／毎週金曜日 27：10〜27：40　10月7日スタート

■BS： BS11／毎週土曜日 25：00〜25：30　10月8日スタート

※ 放送日時は変更になる場合があります。