国内
2016.09.13
「いい試合をしても勝たないと」 セコム、トップイースト初戦落とす
地域リーグのトップイースト(TE)2016年度シーズンが9月10日、開幕した。
翌11日、かつてトップリーグ(TL)を経験したセコムラガッツ(昨季10位)と8位の横河武蔵野アトラスターズが横河グラウンドで2年連続の開幕戦を戦った。
前半はセコムが粘った。開始早々、WTB益子仁紀がノーホイッスルトライを決め先制した。その後、逆転されるもタックルで奮闘し、14−7(横河リード)で折り返した。
後半、横河は2009年度以来、7年ぶりにチームに復帰した元豪州代表FWラディキ・サモを投入した。すると早速5分、サモはラインアウトからボールをもらうとトライラインを越える。横河は後半に4トライ。最終的には40−7と大差がついて、横河が初戦を勝利で飾った。40歳になったサモはこう話す。「横河の選手とはずっと連絡をとってきた。選手生活の最後を送る場の一つ」。
TLスタート時の12チーム(オリジナル12)だったセコム。2006年度を最後にTLへの道は遠のく。プロ選手を抱えたチームは会社が強化を打ち切り、社員選手のみの構成となった。TEでも唯一、外国人がいない。選手たちは警備の夜勤を含め仕事とラグビーを両立する。
しかし、徐々にではあるが会社からの協力は増えている。この日も執行役員数名が応援に訪れたという。
試合終了後の円陣、新主将に就任したSH岡健二は短い言葉を投げかけた。「いい試合をしても勝てないと何も変わらない」。NTTコミュニケーションズシャイニングアークスから移籍2年目で大役を引き受けた。チームのファンブックでは「シーズン5勝」を掲げた。
総監督、山賀敦之は「前半、いい試合だったのですが。タックルが良くて。久しぶりに熱くなった。後半バテたかな。練習時間が足りないのは分かっていますが実力不足」と口にした。
その山賀が今季、チームに招いたのがスペシャリティコーチの三宅敬だ。関東学院大、三洋電機ワイルドナイツ、パナソニック、日本代表と優勝経験豊富なラグビー人生を送って来た。
「セコムはずっと外からファミリー的なチームと見ていました。一度、強化をやめてからもラグビーに取り組む姿勢がすごい。TL昇格、2019年、20年に向けて手伝いたい」と参加した。今年4月から毎週火曜日、狭山のグラウンドへ足を運ぶ。バックスを中心のテクニカルな面を教えてきた。まだまだラグビーを知らない印象を持ったという。シーズンに入ってからは土曜日と日曜日の試合が加わった。「真面目で一生懸命だけでは勝てない。勝負の世界はシビアですよね。今年は1分1分動きラグビーができるようにしたい。それを80分間続ける。TL昇格は先の話です。1つでも順位をあげたい」と新コーチは自らの責任を語った。
(文:見明亨徳)
試合後、円陣で語りかけるセコムの岡健二新主将(撮影:見明亨徳)