国内 2016.07.28

沈思黙考の「一族」の申し子。中大・浜岸峻輝主将が語る優勝への道。

沈思黙考の「一族」の申し子。中大・浜岸峻輝主将が語る優勝への道。
昨年の関東大学リーグ戦1部、法政大戦でプレーする中央大の浜岸峻輝(撮影:松本かおり)
 2位、5位、3位。最後の学年は…。「優勝したい」。関東大学リーグ戦1部の中央大にあって、王座奪還への意気込みを明かすのが浜岸峻輝。酒井宏之ヘッドコーチ(HC)の就任1年目に入学するや、SOの定位置をつかんだ。今年度は主将として、いまはラストイヤーに賭ける。
「秋はリーグ戦で優勝できるチームを、と。中大に入ってから優勝した経験がないので。大学選手権でもベスト4以上を…」
 浜岸の入学年度以来、チームは「中大一族」とのスローガンを掲げて部内の規律を強化。サポーターズクラブの設置でOBからも支援を受け、昨季からはゆでたまご原作の人気漫画「キン肉マン」とのコラボグッズを作った。キャンパス内外におけるクラブの認知度アップに努めている。桐蔭学園高卒で20歳以下日本代表のCTB笠原開盛ら、有力選手の補強も実りつつある。
 その一族の「申し子」と言えるのが、今年度主将を務める浜岸だ。松田雄監督の母校でもある東京高から中大入りするや、高校時代から定評のあったキックとタックルで定位置を獲得。高校日本代表、20歳以下日本代表と、時を前後して年代別のナショナルチームにも選出されてきた。
 チーム総出でフィジカル強化に注力。大学選手権7連覇中の帝京大などと伍すべく、競技力の根っこをなす身体を作り直した。先頭に立つ浜岸は、いま、身長175センチ、体重95キロという体躯でグラウンドに立つ。入学時の公式記録と比べると、7キロアップを実現した。
「チーム全体でも身体を大きく…ということをやってきた。食べる量と、ウェイトの頻度を増やしています」
 もともとは自他ともに認める人見知りで、1年時は「先輩からもよく言われます。もっと声出せって。自分ではやっているつもりですけど…。がんばって、克服しています」と戸惑っていたほど。とはいえ周りからは芯の強さを見込まれていて、「ラグビーでは、自分がこうだと決めたことはタフに貫き通す」と自覚している。
 関東大学春季大会は強豪揃いのグループAで5戦全敗も、酒井HCら首脳陣は秋口までの強化計画を着々と進行させている様子だ。ひたすら明るい文化を作るクラブにあって、沈思黙考の申し子が静かに燃える。
(文:向 風見也)

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