国内 2016.05.02

ラグビーから一度離れて分かった。慶大FB丹治辰碩、ふたたび走り始める。

ラグビーから一度離れて分かった。慶大FB丹治辰碩、ふたたび走り始める。
強気のランニングで何度もビッグゲインを見せたFB丹治辰碩。
(写真/松本かおり)

 黒黄の15番は鋭く、力強くて、何度もトライラインを越えた。丹治辰碩(2年/たんじ・たつひろ)だ。慶應高校時代には花園に出場し、高校日本代表にも選出された選手だ(ともに2014年度)。怪我で遠征には不参加も、豊かな才能は高く評価されていた。
 しかし、慶大入学後はアメリカンフットボール部に入部。もうひとつの楕円球のスポーツに取り組んでいた。しかし、昨夏に同部を退部した後、英国へ留学。帰国してトレーニングを再開し、今年2月に高校の同期や先輩の待つラグビー部へ入部した。

 先の全早慶明戦にも登場したが、公式戦での鮮烈デビューを果たしたのが昨日(5月1日)おこなわれた関東大学春季大会の青山学院大学戦だった。丹治はFBで先発すると、後半22分にピッチを去るまでに3トライをマーク。ボールタッチも多く、フィニッシャーとしても、チャンスメーカーとしても活躍した。
 FW、BKとも良く前に出たチームは、ディフェンスで圧力をかけてボールを奪取し、切り返しからトライを奪うシーンも多かった。59-17の完勝。丹治は積極的に攻撃に絡んでボールを前に運び、チームに勢いを与え続けた。

 試合後、丹治の表情は清々しかった。一度はラグビーを離れたことで、このスポーツの良さにあらためて気づいた。
「(高校卒業までに)10年ラグビーをやったので、違うことに挑戦してみようと思ってアメリカンフットボール部に入ったんです。でも作戦とか決めごとが多くて…やっぱり、いま目の前で起きていることに判断して動くラグビーの方が楽しいな、と」
 短い期間だったが、英国に留学してローカルクラブでプレーしたことも、あらためてラグビーそのものや、カルチャーの素晴らしさを感じるいい機会になった。ケンブリッジ大学チームの一員として、英国遠征中の帝京大と戦うメンバーにも呼ばれた。
「帰国して大学の試合を見ていると、黒黄のジャージーを着て、またプレーしたいなと思ったんです。一時期、筋肉が落ちて(体重が)76?ぐらいまで落ちていたので、ウエートトレーニングを再開しました。もともとフィットネスには自信があったから、集中して筋トレだけに取り組んだ。それも(復帰に向けて)よかったのかもしれません」
 ラグビーへの復帰の意志を伝えると、同期はとても喜んでくれた。
「いい仲間に恵まれています。また頑張りたい」

 高校時代の同期で、この日はSOとしてプレーした古田京と息の合ったプレーを何度も見せ、「お互いに考えていることが分かるので、本当にやりやすい」と話した。
「運動量には自信があります。チームの突破口になるプレーをしたい」
 現在の体重は86?。リスタート後すぐに全開で動けているのは、体の準備ができていただけでなく、リフレッシュした心の充実もあるからだ。 

【週末の関東大学春季大会の結果】
4月29日    関東学大○35−31●    日大
5月1日      流経大   ○66−33●    明大
            青学大   ●17−59○    慶大
            大東大   ○93−  7●    拓大
            専大      ○50−27●    日体大

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