各国代表 2016.04.26

「見とけよという感じ」。帝京大V7主将の坂手、日本代表初キャップへ存在感

「見とけよという感じ」。帝京大V7主将の坂手、日本代表初キャップへ存在感
26日におこなわれた日本代表トレーニングでの坂手淳史(撮影:見明亨徳)
 昨季は帝京大主将として大学選手権7連覇を達成したパナソニックのHO坂手淳史は、4月24日から日本代表合宿に参加中だ。
 30日には、神奈川・ニッパツ三ッ沢球技場で韓国代表とのアジアラグビーチャンピオンシップ(ARC)初戦に臨む。初顔合わせから約1週間でテストマッチ(国際間の真剣勝負)に挑むにあたり、「準備期間は短いですが、やるしかない」と決意を明かした。
 26日は、都内で午前と午後の2回にわけ練習をおこなった。各年代で主将を任されてきたHO坂手は、遠藤哲FWコーチが進めるスクラムやラインアウトのセッションでも、年長者と積極的に意見を交わす。
 中竹竜二ヘッドコーチ(HC)代行が「食事中はスマホを禁止にして、対面での会話を」と短期間でのチーム作りに注力するなか、日本代表として12キャップ(テストマッチ出場数)を誇るパナソニックのSH内田啓介主将、昨季の日本最高峰トップリーグでベストフィフティーンとなったNTTコムのFL金正奎らも率先して発言。強烈なタックラーとしても鳴らす22歳は、「コミュニケーションの質は高いです」と自信を覗かせる。
「いい準備ができていると思っています。練習をやってみても、ゾーン(陣地)ごとのアタックもうまいこと整備されている。各チームでいろんな経験値を持っておられる方が多く、リードしてくれています」
 身長180センチ、体重104キロ。京都成章高を卒業後は、すぐに帝京大の主力組に加わった。1年時の日本選手権では、現所属先のパナソニックを向こうに鈍い音の鳴るタックルを連発。当時のジャパンを率いるエディー・ジョーンズHCからも高く評価され、練習生としてチームに帯同することもあった。国際舞台への思いは強かった。
「(今回の招集の話があったのは)4月の始めか、真ん中だったと思います。(直近まで留学していた)ニュージーランドから帰ってきて、京都でオフを過ごしていたのですが、そこにパナソニックの方から連絡があって。すぐに『行かせていただきます』と言わせてもらいました」
 今度の日本代表には、昨秋のワールドカップイングランド大会組はいない。メンバー発表の直前まで方針は定まらず、準備の遅れは明らかだ。ジェイミー・ジョセフ新HCも着任前である。
 しかしHO坂手は、この逆境すら楽しもうとしている。かねて相手が強い方が燃えるといった旨の発言も重ねており、何より、いまのチームの充実ぶりに喜んでいる。ファンが抱く諸事の不安については、笑顔でこう言うのである。
「この時期にゲームができて、それを観てもらえることは自分自身にとってもチャンスです。やっている僕らからしたら、このチームはすごくいいメンバーですし、まとまってもきている。まぁ、見とけよという感じではあります」
 昨季終盤には左ひじを脱臼したが、いまは万全に近い体調だ。大変なことは、故障個所に巻くテーピングをはがすことくらいだと冗談を言う。「早く、試合がしたいです」。念願のテストマッチデビューへ、こう締めていた。
「緊張するとは思いますが、このチームには同じような状況の選手も多い。だからいつもどおり、自然体でできればいい。…と、いまのところでは思っています」
(文:向 風見也)

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