国内 2016.04.19

ねらいは「きっかけ」づくり。神奈川県RS、一斉体験会の裏側。

ねらいは「きっかけ」づくり。神奈川県RS、一斉体験会の裏側。
すっかりチームメイトの参加者たち。
 4月17日、神奈川県下のラグビースクール全20校が「はじめのラグビー 一斉体験会」をそれぞれの活動拠点で開催した。一部スクールは天候により延期を余儀なくされたが、幼稚園児から中学生まで、200人ほどの参加者が集まった。
 神奈川県立保土ヶ谷公園ラグビー場で開催した横浜ラグビースクールの体験会の参加者は28人。すでにスクールに加入している子どもたちも一緒に、学年ごとに分かれて楕円球と触れ合った。一部の体験では親も加わるなど、途中の雨や風に負けないにぎやかな体験会になった。
 参加のきっかけは、学校で体験したタグラグビーで興味を持った、普段はサッカーをやっているがワールドカップをきっかけに興味を持った、親がもらってきたチラシに興味がわいた、などさまざま。もともと在籍している子どもたちともラグビーボールを使ったミニゲームなどを通じてすぐになじんでいき、30分ほどたったころにはどの子が体験会で参加しているかすぐには区別できなくなるほどだった。
 体験会後はそのままスクールの通常練習が行われたが、ヘッドキャップを持っていないと参加できないと伝えられ、しぶしぶ引き上げる子もいた。
 現在、神奈川県下のラグビースクールは全部で20ある。昨年9月に小田原ラグビースクールが開校し、県下のどのエリアにもラグビースクールがある状態だ。横浜ラグビースクールをはじめとする各スクールでは普段から見学や体験練習を受け入れている。同スクールの副校長の角田誠氏によると、ワールドカップ後の10月以降、多い時だと一度に5人ぐらいの希望者が集まることもあったそうだ。ただ、すでに在籍している友だちや親からの紹介が多いのが実情で、そういった縁がないところまでは「なかなかきっかけがなく、参加してもらえていなかった」とのこと。角田氏は神奈川県ラグビーフットボール協会で普及育成委員長を務めており、今回は県下一斉のイベントにすることによって注目度を上げ、それまで縁がなかった人たちも参加するきっかけを作ろうという狙いもあったという。
 2月から企画を進め、春休みに入る前の3月中頃までにはポスターやチラシも完成。なかなかのハイペースで準備したのは4月の開催にこだわったからだ。新しい学年でできた友だちを誘いやすいタイミングであることに加え、別のスポーツや習い事を始める前に実施したかった。また、体験会の最中には親たちに向けて安全に対する説明にも時間を割いた。「ラグビーはどうしても危険なスポーツというイメージもある。安全を担保してやっていることも説明し、理解してもらうことが大事だと考えている」とのこと。
 実は横浜ラグビースクールでは、「体験会」と銘打った形でのイベントはあまりやったことがないそうだが、さまざまな準備と工夫がなされていた。それ以外のスクールでもその環境に合わせた体験会が実施された様子。横のつながりで作った「きっかけ」をそれぞれで最大限に活用する。そんな高い意識が感じられる一日だった。
(写真・文/野口弘一朗)

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準備されたポスター。同じデザインのチラシも配布した。

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