海外 2016.02.22

帝京大OBボンド、サンウルブズ入りで久々来日「日本ラグビーの価値上げる」

帝京大OBボンド、サンウルブズ入りで久々来日「日本ラグビーの価値上げる」
トップリーグXVとの壮行試合に出場したサンウルブズのティモシー・ボンド(撮影:?塩隆)
 強豪国のクラブがぶつかり合うスーパーラグビーへ日本から初参戦するサンウルブズにあって、「久しぶりに日本でプレーする。楽しみ」と意気込むニュージーランド人がいる。
 ティモシー・ボンド。身長194センチ、体重111キロLOで、帝京大在籍時は2009〜11年度の全国大学選手権優勝を経験。いまなお連覇を重ねる学生王者の礎を築いた、頑健な26歳だ。
 2012年度は一時サントリーに加入も、わずか1シーズンで帰国した。「やっぱりニュージーランドでラグビーがしたかった」と、母国のベイ・オブ・プレンティで楕円球を追っていたのだ。そして今回、自身初のスーパーラグビーへの「チャレンジ」に惹かれ、サンウルブズのオファーを受ける。2月27日の初陣(対ライオンズ戦/東京・秩父宮ラグビー場)に向け、「楽しみながらハードワークしている。チームの雰囲気はいいです」。充実した準備を重ねている。
 2月13日、愛知・豊田スタジアム。日本時代の友人も多くいたというトップリーグ選抜との壮行試合にあって、背番号4をつけ先発した。この日のスターターは、本番でもレギュラー格となる可能性が高いとされる。接点で泥臭くファイトするLOボンドは、こう意気込んでいる。
「僕の仕事をしっかりとやる。僕の仕事は、難しくない。ラインアウト、タックル…それらを上手くやる。それだけです」
 しばしこの国を離れていたが、流ちょうに日本語を話せる。「大学の頃、一緒に遊ぶ友だちと過ごすなかで日本語を覚えました。普通の外国人は勉強っぽい日本語を習ってゆくけど、僕の日本語は、崩れている?」と笑う。サンウルブズは、日本代表勢と外国出身選手が入り混じる多国籍軍。コミュニケーションのバイパス役にはうってつけの存在か。
 本格始動から1か月足らずでオープニングゲームを迎えるチームは、選手間の呼吸が成否を分けるプレーに難儀するかもしれない。特に空中戦のラインアウトでは、主要な役割を担うであろうLOボンドも「準備時間が少ないのは残念」と認めるほかない。しかし、こうも言う。
「練習後、部屋に帰って遊ぶんではなく、しっかりとサインを覚えて…。グラウンドへ行く前に、頭のなかはクリアにしていく」
 15日から本格的に始まった沖縄合宿では、腰を落ち着けて仲間の特徴に触れた。37歳とチーム最年長のLO大野均へは「キンさん(LO大野の愛称)がやるなら、やらなきゃいけないという気持ちになる」と視線を送り、普段は明るくプレーは勤勉なNO8エドワード・カークのことは「雰囲気メーカーです」と紹介したものだ。
 さらにCTB立川理道やCTB田村優とは大学時代に対戦経験があったりと、他の主力格ともかねて親交がある。こんなふうに展望を語った。
「皆、同じゴールを見据えている。日本のラグビーの価値を上げて、このクラブのいいベースを作る…」
(文:向 風見也)

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