偉大な主将が去り、指揮官も新しくなったフランス。輝きそうな新星も
昨年11月にパリで同時多発テロ事件が発生。そのときに狙われたスタッド・ドゥ・フランスにラグビーが帰ってきた。厳戒態勢のなか、シックスネーションズの開幕戦がおこなわれる。フランス代表にとっては勝つことはもちろん、かつてのような華麗なシャンパンラグビーで国民に笑顔をもたらしたい。
フィリップ・サンタンドレ体制だった過去4年間、シックスネーションズでは一度も4位より上になれなかった。ワールドカップではベスト8入りしたものの準々決勝でニュージーランドに13-62と屈辱的な大敗を喫し、2016年はゼロからのスタートとなる。
指揮官は変わった。フランスに光を取り戻そうと意気込むのは、クラブチームのトゥールーズを国内優勝10回、欧州王者には4回導いたギー・ノヴェス氏だ。シックスネーションズ開幕前日に62歳の誕生日を迎えた。
就任時、「選手たちをピッチ上で楽しませるつもりはないが、ファンには見ていて楽しいラグビーを提供するつもりだ」と語っており、伝統のフレンチフレアーを取り戻す。「フランスラグビーの復活は、目標ではなく、責任だ」。アタッキングラグビーのブランドを確立できるか。
新ヘッドコーチは2019年のワールドカップ優勝をめざし若返りを図るが、長きにわたってチームをけん引してきたキャプテンが去ったのは大きな痛手だ。ワールドラグビーの年間最優秀選手に選ばれたことがあるFLティエリ・デュソトワールは、昨年のワールドカップを最後にインターナショナルラグビーから引退した。さらに、フランス代表史上最多キャップPRとなったニコラ・マス、LOパスカル・パぺ、SOフレデリック・ミシャラクといったベテラン選手たちも相次いで代表引退。再び頂点争いをするチームに生まれ変わらせるには時間がかかりそうだ。
新主将はHOギエム・ギラド。
ワールドカップに出場した人気選手のCTBマチュー・バスタローや、SHローリー・ココットが今大会のスコッドから外れたのはサプライズだが、昨秋の大舞台に立てなかったCTBマクシム・メルモズやFBマクシム・メダールには再チャンスが与えられた。CTBウェスレイ・フォファナは所属するクレルモンでの試合でろっ骨を痛め、開幕戦には選ばれなかったが、大会途中で復帰すると思われる。
招集されたノンキャッププレーヤーは10人。イタリアとの開幕戦には、フィジー出身で7人制フランス代表スターでもあるWTBヴィリミ・ヴァカタワなど4人のニューフェイスが先発起用された。今夏のオリンピックも視野に入れ、これまでワールドセブンズシリーズに出場していたヴァカタワは2年以上も15人制でプレーしていないが、まばゆい新星になる可能性を秘めている。