国内 2015.12.28

花園初出場の東京朝鮮高に全国同胞の期待が届く

花園初出場の東京朝鮮高に全国同胞の期待が届く
東京朝鮮高応援の横断幕に書き込む大阪朝鮮高ラグビー部員(撮影:見明亨徳)
 全国高校ラグビー大会初出場の東京朝鮮高校ラグビー部に、全国の在日同胞から期待のこもったメッセージ入りの横断幕が届いた。
 12月27日、翌日の初戦(対 筑紫高)を控え兄弟校・大阪朝鮮高グラウンドで調整を行った東京朝鮮高ラグビー部。そこに2台の自転車に乗った若者2人が到着した。朝鮮大体育学部3年でサッカー部に所属するホン・ユングさん(東京朝鮮高OB)とユン・スンホさん(大阪朝鮮高OB)だ。
 横断幕贈呈は昨年の大阪朝鮮高向けに続き2度目。ハングルで「勝利 東京朝鮮高 漢字で『心技体』」と印刷された横断幕の白地部分にメッセージが書かれている。
 2人は12月22日に東京都を出発し、朝鮮小中高がある地域5か所(神奈川、静岡、愛知、京都、神戸)を回り、各所で横断幕に東京朝鮮高校応援のメッセージを書いてもらった。2人の走行距離は6日間で750キロメートルに及んだ。
 そして最後は、この日、大阪朝鮮高ラグビー部員が書き入れた。大阪朝鮮高部員には「来年こそ同時に花園へ出場して戦ってほしい」と話した。28日、花園第1グラウンドに掲げられる。
 東京朝鮮高、文陽善(ムン・ヤンソン)主将は軽い風邪をひいており、練習はせずに休んでいた。「あすは出ます。多くのお客さんが来られて緊張してますが、ひたむきに内面にフォーカスして戦いたい」と話した。
 シン・ハンソル コーチは「いつも通りのことができないことが起きるのが花園と、たくさんの方に伺った。あすはいつも通りにプレーしようと選手に話している。緊張するでしょうが、それも楽しもうと。FWで押してチャンスを作りトライを奪うスタイルは変わりません」と話した。
 選手たちは開会式で表彰を受ける入場行進に、実は自信を持っていた。シン コーチは「9月にあった校内運動会の部対抗である『行進(へんじん)』に優勝していた」という。そしてあすの対戦相手・筑紫が行進で表彰を受けたこともあり、「そちらの部分を含めて勝ちたい」と笑顔を見せた。
 大阪朝鮮高グラウンドには父母も訪れていた。その中に孫を見守る男性が一人。FL洪将極(ホン・チャングッ、3年)の祖父、炳允(ビョンユン)さんだ。実はビョンユンさんは、ボクシングの元世界チャンピオンである徳山昌守(ホン・チャンス)さんの父親だ。つまり、FL洪将極はボクシング元世界王者の甥っ子。チャンスさんは5人兄妹の三男で、ラグビー部の将極は長男・竜守(ヨンス)さんの三男。きっと、世界的な身体能力が引き継がれているはずだ。
(文:見明亨徳)

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横断幕にメッセージを集めて回ったホンさん(写真左)とユンさん(撮影:見明亨徳)

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希望を語る東京朝鮮の文陽善キャプテン(撮影:見明亨徳)

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