コラム
2015.12.19
アフリカ予選で優勝したのに… 女子セブンズ南ア代表、リオ五輪の夢散る
南アフリカの女子ラグビー選手たちはやりきれない思いでいっぱいに違いない。女子セブンズ南ア代表はリオデジャネイロオリンピックのアフリカ予選で全勝優勝したにもかかわらず、出場を認められなかった。彼女たちの夢を消したのは、自国のオリンピック委員会だった。
女子セブンズのアフリカ予選は今年9月下旬に南アのジョハネスバーグ郊外でおこなわれ、10か国が参加。プールステージで1点も失うことなく4戦全勝で突破した南アは、準決勝でチュニジアにも完封勝ちし、決勝ではケニアを31-5で破って歓喜した。
南アラグビー協会はもちろん、国際統括団体のワールドラグビーも彼女たちを祝福した。
ところが、南アフリカスポーツ連盟・オリンピック委員会(SASCOC)は女子セブンズ南ア代表のオリンピック参加を承認しなかった。同国の『サンデータイムズ』紙によると、ほとんどのスポーツにおいてアフリカ予選はあまりにレベルが低いと考えられており、ワールドクラスのアスリートを派遣したいSASCOCは、大陸予選を勝ち抜いただけではオリンピック参加資格基準を満たさないという方針を明らかにしていた。
これに強く反対してきたサッカーと自転車の競技団体は辛抱強い交渉の末に例外とされているが、南アのそれ以外のほとんどの競技者は、オリンピックに出場するためには国際大会で上位の成績を残すしかない。
悲しい思いをしたのはホッケーの南ア代表も同じで、男女ともリオ五輪の出場権がかかったアフリカチャンピオンズシップで優勝したが、南アホッケー協会とSASCOCはあらかじめ、五輪参加資格について「アフリカ予選は考慮しない」と書かれた協定書にサインしており、結局、国際ホッケー連盟は南ア代表の代わりに男子ニュージーランド代表と女子スペイン代表に五輪出場権を与えることを決めたのだ。
SASCOCに対しては、「選手やスタッフたちの努力が水の泡になる」という批判の声が大きい。
将来もSASCOCの五輪参加資格基準が変わらなければ、南アの7人制ラグビー代表はワールドセブンズシリーズで上位の成績を収めるしかない(男子はこれをクリアしてリオ五輪出場を決めている)。
「我々の女子南ア代表選手にとってはとても残念な結果になってしまった」と南アラグビー協会のオレガン・ホスキンス会長。「我々は過去2年間、トッププレーヤーたちをフルタイムのプログラムで強化してきた。彼女たちは、南アフリカの女子スポーツ界、ラグビー界におけるプロフェッショナルな先駆者だ。彼女たちがオリンピックに出場することで多くの若い女性アスリートに希望を与えることができたのに、それはできなくなってしまった」
ワールドラグビーは今週(2015年12月15日)、夢破れた南ア女子の代わりに、アフリカ予選で2位だった女子セブンズケニア代表がリオ五輪への出場権を得たと発表。ケニアオリンピック委員会はオリンピック参加資格規程に従ってこれを受け入れた。
オリンピックにおけるラグビー競技は、男子15人制が過去4度(1900、1908、1920、1924年大会)開催され、92年ぶりに7人制ラグビーとして復活する。女子ラグビー選手がオリンピックに出場するのは2016年のリオデジャネイロ大会が初めてとなる。
■写真:五輪出場を夢見、ひたむきに努力を重ねた女子セブンズ南ア代表(Photo: Getty Images)