国内 2015.11.29

ネガティブ消えたサニックス、九電に完勝1位通過! 再昇格へ心身充実

ネガティブ消えたサニックス、九電に完勝1位通過! 再昇格へ心身充実
宗像サニックスと九州電力。ライバル対決は一方的な展開となった(撮影:Hiroaki. UENO)
 宗像サニックスブルースと九州電力キューデンヴォルテクス。トップリーグへの再昇格をめざす両チームの対決は、予想外の大差がつき、明暗が分かれた。11月28日、トップキュウシュウA決勝リーグの今季最終戦が福岡・グローバルアリーナでおこなわれ、サニックスが10トライを挙げて69-0で完勝。全勝で九州を制したサニックスは三地域(イースト、ウェスト、キュウシュウ)の1位チームが集うトップチャレンジ1へ進み、2位の九州電力はトップチャレンジ2に臨むことが決まった。
「しっかり体を当てて、一発目は力で取りたかった」と藤井雄一郎監督が言う通り、サニックスは試合開始からパワーとスピードで九州電力を圧倒した。前半3分、ラインアウトから攻めてゴール前中央に迫り、身長196センチ、体重115キロの元南アフリカ代表NO8ジャック・ポトヒエッターが豪快に突っ込んで先制した。
 前半はサニックスが8割近く敵陣でプレー。九電はボールを手にしても相手の速いプレッシャーを受けてキープすることができなかった。フィジカルバトルで優位に立ったサニックスは完全にゲームを支配し、その後、快足WTBの屋宜ベンジャミンレイがハットトリックを決めて29-0で前半を終えた。
 サニックスはSO田代宙士のキックプレーも好調。高い集中力とコンビネーションで、息の合った攻守が続いた。
 一方の九州電力は、今シーズン強化してきたラインアウトでNO8高井迪郎がスチールし、関東大学対抗戦Aで3年連続トライ王となった帝京大出身のルーキーWTB磯田泰成が好走するシーンがあったが、全体的に見せ場は少なく、後半もサニックス劇場となる。
 ワールドカップで大活躍だった日本代表のカーン・ヘスケスは後半から登場。サニックスのアウトサイドCTBに立ち、しばらくはラックでのファイトやディフェンスで奮闘していたが、後半20分には自陣でのターンオーバーから馬力ある約50メートルの走りを披露し、会場を沸かせた。「プレーが雑じゃなくなった。そのへんは(日本代表で)叩き込まれたんだと思う」と藤井監督。「雑でよかった部分が若干消えた感じがする」と指揮官は笑ったが、果敢に勝負して強引に相手選手を振り切る力強い走りはこの試合で何度も見られ、トップチャレンジ1と入替戦ではキーマンになりそうだ。
 サニックスは結局、相手にゴールラインを割らせなかった。九州電力が22メートルライン内に入ってもディフェンスは堅く、ブレイクダウンでのターンオーバーを連発し、そこから自分たちのトライにつなげるなどスキがなかった。
 過去3シーズンで2回降格を経験しているサニックスだが、今季は体も心もより強くなったと藤井監督は言う。
「去年は僕も含めて、ネガティブなことばかり言っていた。でも、今年は一切ネガティブなことを言わずに、やり方をいろいろ変えてみた。もちろん、厳しい練習がベースにはあるんですけど、グループのリーダーを決めて彼らが成長することで、フィールドのなかで起こりうることを自分たちで解決できるようになってきたのが大きい。それが精神的な強みというか、選手自身が楽になっていると思いますね。チームとしてちょっとずつ成熟してきた。戦術・戦略の面で引っ張るグループと、声を出してチームを鼓舞する元気な選手のグループに完全に分けて、各リーダーが、いい形でそれぞれの仕事をできている。理解力も高まって、細かいこともすぐに修正できるようになりましたね」
 オープン戦ではトップリーグチームと試合を重ね、シーズンが始まってからも、公式戦第3節を終えたあと中4日でNTTドコモレッドハリケーンズと練習試合を入れ、その2日後にトップキュウシュウでマツダブルーズーマーズと戦うなど、ハードなスケジュールを組んでシーズンを過ごしてきた。体は強くなり、メンタルもかなり鍛えられたと指揮官は手ごたえを感じている。
 さらに、この日の試合では2年目のPR高野大智や、3年目のLO西井利宏、FL鶴岡怜志が先発して躍動し、トライアウトを経て昨季加入したLO福坪龍一郎も後半から入って奮闘するなど、若い選手が力をつけているのも頼もしい。
「トップリーグでいろんな洗礼を受けた奴が徐々に力をつけてきて、いまはチームになくてはならない選手になってきた。若い選手の成長を感じる。入替戦に勝って上に行けば、チームは来年からもっと良くなるんじゃないかと思っています」と藤井監督は力強く言った。
 今季は自動昇格はなく、トップチャレンジ1を戦ったあと、トップリーグ下位チームとの入替戦に勝たなければ昇格することはできない。勢いに乗っていきたいサニックスは、1月10日から始まるトップチャレンジ1までにもう一度フィットネスを鍛え、レベルを上げて大勝負に臨むつもりだ。
 一方、完敗を喫した九州電力の瓜生丈治監督は、「予想以上にサニックスさんのブレイクダウンの圧力があった。ディフェンスがそろう前にこっちからアタックを仕掛けていこうというイメージはあったが、そこができなくて、フィジカルの勝負になったときに後手に回ってしまった」と悔やんだ。
 トップチャレンジ2の初戦は12月13日。
「ブレイクダウンやボール確保の部分など精度を上げて、チャレンジしていきたい。今日の試合で顕著になったのは、我々自身の精度の部分。そこをきちんと立て直していかないと」
 なお、トップイーストリーグDiv.1では三菱重工相模原と釜石シーウェイブス、トップウェストAでは中部電力と大阪府警察のトップチャレンジ進出が確定しており、両リーグとも12月5日の直接対決で1位・2位通過が決まる。

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トップキュウシュウAの表彰式で笑顔を見せた宗像サニックスのカーン・ヘスケス
(撮影:Hiroaki. UENO)

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