国内 2015.11.04

決戦は今週末。花園東京都予選決勝は東京×久我山、東京朝高×明大中野。

決戦は今週末。花園東京都予選決勝は東京×久我山、東京朝高×明大中野。
東京朝高は花園の行く手を阻んできた目黒を破り歓喜に沸く。(撮影/見明亨徳)

 決戦は、いよいよ今週末に迫った。11月8日(日)、全国高校ラグビー大会(花園)の東京都予選決勝が秩父宮で開催される。11月1日には東京都予選(第1地区、第2地区)の準決勝4試合が行われ、各地区のファイナリストが決まった。第1地区では、5大会連続出場を目指す東京高校と同2大会連続となる國學院久我山高校が対戦する。第2地区は初出場をかける東京朝鮮中高級学校(以下、東京朝高)と、26大会ぶりの古豪復活を狙う明大中野高校が激突する。
 以下、準決勝4試合の模様を振り返る。

■第1地区 準決勝1: 東京高 52-21 大東文化大第一高(前半:17-7)
 東京が試合を大東一につけ入る隙を見せず決勝進出を決めた。
 前半3分、大東大陣での左ラインアウトを得ると、右オープンへ回してWTB西野稜祐(2年)が右隅へ先制トライを奪った。12分にはキックパスを受けたFB山菅一史(3年)が左インゴールへ飛び込み5点を追加。さらに1トライを加え17-0とする。大東大一は愚直にFWが、モール、ラックサイドをつくアタックを見せる。前半終了間際31分にラインアウトからもこの攻撃を選びFL小林陸人(3年)がトライラインを越え、7点を返し後半へ入った。

 後半は東京WTB西野が躍動した。
 3分、センターラインからのスクラム。東京は左へ回す。西野へパスが渡り、タッチライン際を走り切りトライを奪う。西埜はさらに4分後、大東大陣22メートルの左ラインアウトではライン際に動いてボールをもらうと3本目のトライを決める。10分、25分にもトライラインを駆け抜け、西埜は計5トライ。チームも後半だけで5トライを奪った。大東大一に2トライを返されるも、安定した攻めで決勝へ進んだ。

 森秀胤監督は「一つ一つ勝ち進んでいくだけ。決勝はチャレンジャーとして臨む」と気持ちを引き締める。5トライの西野は「もともとSOだったのでボールをもらうとゲインを切る自信はあった。自分からボールをもらえるように積極的にプレーできた」と満足気だった。

■第1地区 準決勝2: 國學院久我山高 24-18 本郷高(前半:0-18)
 第1試合ではやや強かった風も微風に変わり、環境の良い中でキックオフとなった。試合は前後半で得点チームが大きく入れ替わるという、予想しない展開になった。
 前半の入りは本郷が優勢に進めた。10分、久我山陣へ入ると相手のノットロールアウェーを誘いCTB北川浩史(3年)がPGを決めて先制。13分には久我山LOが反則の繰り返しで7分間の退場となった直後、ゴール前でペナルティをもらう。この機会にSH藤浪魁(3年)がトライラインを越えて0-10と差を広げた。21分にもトライで5点を加え、浮足立つ久我山に対して「相手は焦っている!」と声を掛け合った。
 さらに30分にはPGで3点を加え0-18で折り返した。

 しかし、後半は全く逆の舞台となった。
 久我山は本郷の攻めをディフェンスで耐える。8分、本郷陣でターンオーバーしたボールを丁寧につないでNO8川合秀和(3年)がようやくファイブポインターとなった。コンバージョンをFB島田悠平(3年)が決めて7-18。13分には本郷がノックオンしたボールを自陣から攻める。そのボールを拾ったWTB安倍勇佑が左タッチ際を快走し、最後はCTB桑山太一(3年)が左中間へトライ。コンバージョンも成功で4点差へ迫った(14-18)。
 そして21分だった。本郷ゴール前スクラムからオープンンサイドへ攻め続ける。CTB柴大河(2年)が逆転トライを左中間へ決めた(21-18)。さらに28分にPGを確実に決めると、最後は本郷にゴールラインへ迫られたがディフェンスで粘りラインを割らせなかった。

 両チームの反則は11ずつ。お互い点を奪われた前半、後半に集中していた。
 勝者、久我山・竹内伸光監督は接戦の勝利に「トライを取られて選手は焦っていた。ラインアウトを得て確保したボールをキープする約束をパスで回すなど練習と違うことをやってしまった。(決勝は春季大会で28-29と敗戦した東京高校相手に)一生懸命やるだけです」と話した。

Tokyo2

本郷最後の攻めを耐える國學院久我山。(撮影/見明亨徳)

■第2地区 準決勝1: 東京朝高 17- 15目黒学院高(前半:7-5)
 FWのモールから活路を見出す東京朝鮮と、トンガ出身選手の個人突破力で勝ち上がってきた目黒。2年前の第1地区決勝(目黒78-0東京朝鮮)以来、目黒が東京朝高の行く手を阻んできていたが、今季は春季大会で東京朝高が17-14と逆転勝ちしている。

 前半開始早々、東京朝高が目黒陣へ入る。得意のモールでゴール前へ迫るも、ミスでチャンスを逸した。一方の目黒は9分、東京朝高陣で左ラインアウトを得て、オープン側へ攻める。SOファカタヴァ・ソセフォ(3年)がランで切り込み、右CTB篠宮蓮太朗(3年)が先制トライを奪った。
 その後、東京朝高は愚直に得意のアタックを繰り返した。17分、ラインアウト、モールで目黒ゴールラインへ迫る。FWがラックサイドを突く。出たボールをSO申誠敏(シン・ソンミン、3年)がポスト下へ運び同点。CTB金基英(キム・キヨン、3年)がコンバージョンを決めて7-5と逆転した。目黒も前半終了間際に敵陣5メートルのラインアウトを得たが、トライを奪えなかった。

 後半も同じ展開が続いた。
 8分、目黒はスクラムから18次攻撃を続ける。フィニッシュはFB峯崎幸大(3年)だ。再逆転トライを右端へ決めた(7-10)。しかし東京朝高も下を向かない。7分後、目黒陣左ラインアウトを得ると、モールを押す。NO8文相太(ムン・サンテ)がインゴールで押さえ3度目の逆転劇だ(コンバージョンも成功し14-10)。
 試合の行方は最後までもつれた。
 27分、目黒は相手の反則から素早く回してLOアサエリ・サミソニが逆転トライを奪う(14-15)。しかし東京朝鮮は落ち着いていた。30分、目黒陣へ入るとモールで進む。ラックでターンオーバーされるも、ターンオーバー仕返してボールを取り返す。ロスタイム2分で攻め続けて目黒のオフサイドを誘った。
 約30メートルのPGを選択した東京朝高はCTB金が慎重に蹴る。ボールはポールの真上を飛び越えた。17-15で2年ぶりの決勝進出を勝ち取った。

 PGを決めた金は「過去3年間、目黒に負けてきた。応援してくれる同胞や日本人のみなさんのためにも決勝で勝つ。明大中野はBKがいいチームですが、こちらは全員で戦う」と決意を話した。呉昇哲(オ・スンチョル)監督は「想定内の展開でしたが、ハラハラドキドキして見ていた。後半、最後に逆転されてもモールで押せていたので焦りは無かった。モールで押し込み反則を得てPGで決めるというプラン通りにできた。決勝まで1週間、しっかり準備します」と花園への夢を膨らませた。

■第2地区 準決勝2: 明大中野高 19-0 早稲田実業高(前半:7-0)
 試合開始から早実が明大陣へ入り続けるも、反則やハンドリングミスで点を奪えない状態が20分過ぎまで続いた。
 試合が動いたのは24分。明大中野が早実陣へ入り、モールを組むとそのまま押し切った。PR笹川大五(3年)が先制トライを奪う。コンバージョンをSO二浦瑞樹(2年)が確実に決めた。

 後半は明大中野のアタックがいつも通りの力を見せた。開始から早実陣で試合をリードする。早実もゴールラインを背負って懸命のディフェンスで耐える。しかし7分に明大中野が右ラインウトからモールで押すと外側のディフェンスが甘くなり、WTB西村壮平(3年)が左隅でトライラインを越えて5点を加えた。さらに18分、右ラインアウトからモールでそのままトライを奪い19-0。26大会ぶりの花園出場へ王手をかけた。早実は前半最初のチャンスを逸したことが響いた

 明大中野・勝田宗頼監督は「今日は前半、選手が硬かった。BKが機能していなかったので後半はFWで行くプランができた。東京朝高には今年負けているので(春季大会準決勝20-27)、やるだけです」

(リポート/見明亨徳)

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