ワールドカップ 2015.10.16

準々決勝出場叶わない男たち 偉大なベテラン2人は負傷で引退へ

準々決勝出場叶わない男たち 偉大なベテラン2人は負傷で引退へ
フランス戦で動けなくなったアイルランド代表主将のポール・オコンネル
(Photo: Getty Images)

 英国で開催されているラグビーワールドカップ2015は、いよいよ今週末からベスト8によるノックアウトステージに突入するが、偉大なベテラン2人を含むスター選手の数人が試合に出ることができない。

 大会史上初の連覇を狙うニュージーランド代表だが、オールブラックスのPRとして歴代最多の118キャップを重ねたトニー・ウッドコクが負傷離脱した。34歳のウッドコクは今年6月、ワールドカップ後に現役引退することを発表し、最後の大舞台で全力プレーを続けていたが、10月9日のトンガ戦(プールC最終戦)で右太もも裏に重傷を負い、残り試合でプレーすることは不可能となった。
 ウッドコクはワールドカップ3大会に出場し、2トライを記録しているが、そのうちのひとつが2011年の自国開催ワールドカップ決勝(○8-7)でフランスから挙げたもので、結果的に引退試合となってしまったトンガ戦でもトライを決めていた。
 代わりに、27歳で8キャップを持つPRジョー・ムーディー(カンタベリー)が招集され、ワイアット・クロケット、チャーリー・ファウムイナ、ベン・フランクス、オーウェン・フランクスのバックアップとなる。

 悲願の初優勝に燃え、北半球勢で最も栄冠に近いと言われているアイルランド代表だが、絶対的な大黒柱だったLOポール・オコンネルを失った。準々決勝の2日後に36歳の誕生日を笑顔で迎えるつもりだった闘将は、11日のフランス戦(プールD最終戦)で右太もも裏を痛めてストレッチャーで運ばれ、手術が必要と診断され、18日のアルゼンチンとの準々決勝だけでなく、たとえ勝ち進んだとしても今大会の残り試合出場は絶望となった。オコンネルは、ワールドカップ後はトゥーロン(フランス)に加入して現役を続ける予定だが、約13年におよんだ代表キャリアは終わった。
 アイルランド代表としてテストマッチ108試合に出場(99試合で先発、28試合で主将)。ブリティッシュ&アイリッシュ・ライオンズを含めると115キャップ。アイルランドのラグビー史に残る偉大なプレーヤー、そしてリーダーのひとりだった。

 アイルランドにとっては最悪なことに、FLピーター・オマホニーもフランスとの激闘でひざを負傷、CTBジャレッド・ペインは足を怪我し、離脱となった。股関節部分を痛めた司令塔のジョニー・セクストンは、準々決勝に出場できるかどうか微妙な状況だ。
 そして、キーマンのひとりであるFLショーン・オブライエンはフランス戦でマン・オブ・ザマッチに選出される活躍をしたものの、相手LOパスカル・パぺの腹を殴っていたことがのちに発覚して1週間の出場停止となり、アルゼンチン戦ではプレーできない。

 そのアルゼンチン代表も、ベテランCTBのマルセロ・ボッシュがナミビア戦で危険なタックルをしてイエローカードをもらい、1週間の出場停止処分を科せられている。

 また、準々決勝でオーストラリア代表とぶつかるスコットランド代表は、主力のHOロス・フォードとLOジョニー・グレイがサモア戦で相手FLジャック・ラムに対してリフティングタックルをしたとして、3週間の出場停止となっている。その試合では2人ともイエローカードをもらっておらず、処分は厳しすぎると怒り心頭のスコットランド側は不服を申し立てる予定だが、アピールが認められなければ、たとえスコットランドがトーナメントを勝ち進んだとしてもロス・フォードとジョニー・グレイは今大会の残り試合には出られない。

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トンガ戦で負傷し、オールブラックスの戦列から離脱したトニー・ウッドコク(写真右)
(Photo: Getty Images)

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