春季大会3戦で11トライ 帝京大ルーキー、WTB竹山の思考法
(撮影:松本かおり)
関東大学対抗戦と同リーグ戦の交流リーグである関東大学春季大会。大学選手権6連覇中の帝京大にあって、新人のWTB竹山晃暉が、開幕から3戦で11トライと存在感を示している。
「レギュラーで使ってもらっている間は、フィニッシャーとして1番でありたいです」
奈良・御所実高の1、3年時には全国高校ラグビー大会で準優勝。特に最終学年時は、背番号「11」をつけながらも「フリーマン」として各所でパスをもらった。その姿勢はステージが変わっても貫かれる。
相手の守備網が乱れたところへ顔を出し、鋭いステップを刻む。「自分が伝えられる情報は伝えていきたい」と、欲しいボールの種類や自分から観たグラウンドの風景などを大声で発信する。その姿勢に、岩出雅之監督も「モノが違うね」。シーズンが本格化した頃には、もっと球を持てるSOでの起用も示唆している。
「人生の目標である2019年(ワールドカップの日本大会への出場)、20年(東京オリンピックでの男子7人制日本代表選出)に向けての近道というわけではないですが、帝京大学で過ごす毎日が、自分の人生を作ってくれている。ここに来てよかったと思います」
こう淀みなく話す本人の課題は、フィジカルである。公式サイズは「身長174センチ、体重75キロ」。筋骨隆々の帝京大にあっては珍しく、直線的なコンタクトは控えている印象だ。強みのランニングスキルを活かした結果でもあるが、WTB竹山自身も「もっと身体作りをしていきたい」と認めている。
「いまの体重は、80キロあります(自己申告)。ここから一旦、85キロまで増やして、(秋には)83キロくらいに戻したいです。もちろん、身体が強くないからといってコンタクトに消極的になるのはよくないと思うので、積極的に行きたい」
もっとも、ボールタッチ数と情報発信を支える聡明さは魅力だ。24日、東京・帝京大グラウンド。4トライを奪って59-19で勝利した東海大戦後のことだ。
ゲーム前のミーティングで聞いた岩出監督の言葉を噛み砕き、WTB竹山は今後の指針を明かすのだった。
一度、上手くいったプレーを、それ以降も再現しやすくするために――。
「だめだったプレーがどうしてだめだったかは、(自然と)追求できると思うんです。そんななか、よかったプレーがなぜよかったのかも追求していきたいです。『よかったからOK』とクリアにしてしまうのではなく、それの何がよくて、それがなぜ起こったのかをしっかりと分析する。チームとしても、個人としても、たまたまじゃないプレーを増やしていきたいです」
試合当日の朝に「いいプレーをしている自分」をイメージするというルーキーは、この先も存在感を示せるだろうか。