国内 2014.12.14

フレンチ・アタック。専大、13年ぶり1部復帰で「緑の誇り」取り戻す。

フレンチ・アタック。専大、13年ぶり1部復帰で「緑の誇り」取り戻す。

KL12

前半10分に先制トライを挙げた専修大学SH古川浩太郎。(撮影/松本かおり)

 グリーンの熱が渦巻いた。12月13日におこなわれた関東大学リーグ1部-2部の入れ替え戦。今季2部で2位だった専修大学が1部で7位だった日本大学を30-24で破った。熊谷ラグビー場に詰めかけた多くのファン、関係者が沸いた。来季、13年ぶりに1部で戦う。

 試合開始直後から伝統の緑×白のジャージーに勢いがあった。ボールを早く、よく動かす。全員が迷わず走り続けることで、そのテンポを継続する。やってきたことに自信があったからだろう。前半10分にはキックカウンターを止めて反則を誘うと、速攻から連続攻撃。SH古川浩太郎が左スミに飛び込んで先制トライを奪う。専大は攻守で前に出続けた。
 チャレンジャーの気持ちを受けたか、日大はミスを連発した。パワーを活かして突破はある。しかし、単発に終わる。4年生のWTB南波輝が集中力高くプレーする(前半31分にはトライも奪う)。ただ、束になれなかった。

 それでも競った。前半を終えて8-5と専大リード。後半序盤は日大が流れをつかんだ。
 5分にハイパントから相手ミスを突いた日大は、WTB菅沼慎がトライを奪う。さらにその3分後には、連続攻撃からWTB南波もインゴールへ。逆転した日大が、一時は17-8と差を広げる時間帯もあった。
 しかし、お互いにシーズン最後となる戦いで笑ったのは、上を見て階段を昇ってきた側だった。個々の力では1部で揉まれてきた側が上回っているように感じたけれど、勝負はそこでは決まらなかった。攻守の一体感。走り続けるメンタル。専大は、リードを許したきつい時間帯に心が折れず、ゲーム終盤のきつい時間帯に運動量で上回った。16分にPGで差を詰めると、22分にラインアウトから左右に大きくボールを動かし、グラウンドの幅をいっぱいに使う。最後はFB棚橋宗一郎主将が左中間にトライ、SO北田光司がコンバージョンを決めて逆転する(18-17)。後半32分にはゴール前のラインアウト、モール、ラックで前に出てPR古屋篤史がトライ(コンバージョンも成功/25-17)。36分にもさらに加点して(30-17)、日大の反撃を振り切った(38分にトライも…)。

 2012年度のシーズンから母校に戻った村田亙監督は、部にディシプリンを植え付けるとともに、ディフェンスの整備をすることから再建の道を歩み始めた。2年間は防御力アップと、フットネス、ストレングスを高めることに専念。選手たちの意識改革を進めた。
「ディフェンスの基礎が固まってきたので、今季からアタックに手をつけました。リーグ戦の最終戦から3週間あいたので、その間、拓殖大学と合同練習をするなど当たりの強さに慣れてこの日を迎えられたのも大きかった。選手たちは本当によくやってくれました。スタンドの声援も、本当に力になった」
 そう話す村田監督の目は赤かった。

 ボールを大きく動かして攻める方向性を「フレンチアタック」と呼び、全員にその意識を植え付けた今季。最終戦で1年間やってきたことを示せたのは、明確なビジョンを描けた首脳陣と、それを信じ、努力を重ねた部員たちの強い気持ちがあったからだ。
 逆転に結びつく後半22分のトライは、まさにフレンチアタックそのものだった。インゴールに飛び込んだのが主将だったことは、この1年の歩みと無関係ではないと思う。

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