コラム 2014.11.17

入替戦を覚悟した京産大が優勝争いトップに! 関西学大も全勝キープ

入替戦を覚悟した京産大が優勝争いトップに! 関西学大も全勝キープ

 11月15日(土)、東大阪市の近鉄花園ラグビー場にて、関西大学Aリーグ第5節の2試合が行われた。第1試合は4戦全勝同士の同志社大学と京都産業大学が対戦し、大方の予想を覆して京産大が接戦をものにした。自陣でミス、反則を繰り返した同大に対して、京産大は、SH梁正秋(りゃんじょんちゅ)のハイパントとFW陣の縦突進を軸にシンプルに試合を組み立て、守っては粘り強く低いタックルを連発した。それでも、29−27という接戦に、同大の底力が垣間見える好勝負だった。

 第2試合は、ディフェンディング・チャンピオンの立命館大学と、4戦全勝の関西学院大学が対戦し、リーグ随一の攻撃力を見せつけた関西学大が33−10で快勝した。キャプテンのFL鈴木将大、FL中村圭佑、NO8徳永祥尭のFW第三列を中心に突進力ある選手たちが次々に前進し、FW、BK一体となった分厚い攻撃は迫力があった。野中孝介監督、選手たちの口から、等しく「全勝優勝を狙っている」という言葉が出るのも頼もしい。

 この日の結果、優勝争いは、5戦全勝の関西学大、京都産業大、4勝1敗の同志社大にしぼられた。立命大は、2勝2敗1分け。優勝候補の一角だった天理大は、関西学大戦の1点差負けが響き、2勝3敗で5位、1勝3敗1分けの近畿大がこれに続き、大阪体育大、摂南大はいまだ白星がない。

 シーズン前、京産大のここまでの成長を誰が予想できただろうか。大西健監督ですら、こう話す。「夏合宿までは、スクラムは押される、ディフェンスもガタガタ、入替戦を覚悟していました。Bリーグのチームもウチにターゲットを絞っていたようですよ」。それが、元木由記雄コーチの厳しい指導、組織ディフェンスの構築に定評のあるクリス・ミルステッドコーチの存在もあって、めきめきと力をつけた。

 「稀に見るキャプテン」と、大西監督が称賛する梁正秋のリーダーシップも大きいようだ。「気持ちで負けないチームを作りたかったのですが、なかなか上手くいかなくて。僕が厳しすぎて反感を買い、言い返されることもありました。優しさも必要だと思って、一人一人への声掛けを意識するようにしました。今は僕の声に反応してくれるようになっています」。妥協のないキャプテンの姿勢も好調の一因だろう。

 京産大は、11月23日に立命館大、30日に関西学大と、いずれも地元の宝が池で対戦する。関西学大は、23日に同志社大と対戦。23日の宝が池は面白い。多数の観客がスタンドを埋めることだろう。

 さて、15日は、「関西大学Aリーグ最後の近鉄花園」と銘打たれ、関西協会のホームページにもPR映像が公開されていた。正確に書くと、この日が近鉄花園ラグビー場の第1グラウンドで開催される最後の関西大学Aリーグということになる。22日に同リーグの2試合が予定されているが、これは第2グラウンドでの開催。その後、トップリーグや全国高校大会では使用されるが、大学リーグは15日が最後だった。近鉄花園ラグビー場は、東大阪市に譲渡され来春には、東大阪市立花園ラグビー場として新たなスタートを切る。近鉄花園に愛着を持つ人々にとっては、感慨深い一日だったのである。

(文:村上晃一)

■関西大学Aリーグ第5節(11月15日)結果
・京都産業大学○ 29−27 ●同志社大学(前半15−13)
・関西学院大学○ 33−10 ●立命館大学(前半21−3)

【筆者プロフィール】
村上晃一(むらかみ・こういち) ラグビージャーナリスト。京都府立鴨沂高校→大阪体育大学。現役時代のポジションは、CTB/FB。86年度西日本学生代表として東西対抗に出場。87年 4月ベースボール・マガジン社入社、ラグビーマガジン編集部に勤務。90年6月より97年2月まで同誌編集長。出版局を経て98年6月退社し、フリーラン スの編集者、記者として活動。ラグビーマガジン、ナンバー(文藝春秋)などにラグビーについて寄稿。J SPORTSのラグビー解説も98年より継続中。99年、03年、07年、11年のワールドカップでは現地よりコメンテーターを務めた。著書に、「ラグ ビー愛好日記トークライブ集」(ベースボール・マガジン社)3巻、「仲間を信じて」(岩波ジュニア新書)などがある。BS朝日ラグビーウィークリーにもコ メンテーターとして出演中。

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