コラム 2014.10.27

関西学大が天理大を封じ全勝キープ! 優勝争い混沌

関西学大が天理大を封じ全勝キープ! 優勝争い混沌

 上位陣の優勝争いが混沌とする関西大学Aリーグは、10月26日(日)、東大阪市の近鉄花園ラグビー場、京都市の宝ヶ池球技場で第3節の計4試合が行われた。全勝を守ったのは、優勝候補の一角である関西学院大、同志社大、そして、昨季3位の京都産業大だった。

 第3節最大の注目カードは、近鉄花園ラグビー場第1試合「天理大×関西学院大」。開幕戦で同志社大に敗れたものの第2節で立命館大に快勝した天理大か、抜群の得点力を見せつけて連勝スタートを切った関西学大か。同志社を追う両校の戦いは今後の優勝争いの中で大きな意味を持つ。

 僅差勝負が予想された試合は天理大ボールのキックオフで始まった。関西学大は、ここから約90秒、ボールを保持して攻め続ける。NO8徳永祥尭を軸にフィジカルに自信を持つ選手が次々に突進し、小刻みにゲインをくり返した。「正攻法で来ましたね」と天理大・小松節夫監督。「天理にほとんどボールを持たせなかったのが勝因のひとつでしょう」(関西学大・野中孝介監督)。それは、今季の関西学大のスタイルでもあった。

 天理大も粘り強くタックルを続けたが、関西学大は、SH徳田健太、SO清水晶大のHB団がパスを自在に振り分けながら防御を崩し、18分、CTB勝川周がトライ。36分、ゴール前のスクラムからの連続アタックで徳田がラックサイドをすり抜けてトライ。前半を14-3とリードして終えた。「前半、もう少し関西学大の攻撃時間を減らせていたらね」(小松監督)。天理大は相手陣22メートルラインの中で3度のマイボール・ラインアウトという絶好のチャンスを作りながら、ミスと反則でボールを失った。一つでも得点に結びつけていれば、流れが変わった可能性はある。

 天理大は後半3分、22メートルライン内でボールを奪い返し、最後はWTB永松哲平が約50メートルを走りきって14-10とする。その後も連続攻撃を仕掛けたがトライには至らず。逆に11分、関西学大は、安定したラインアウトからの攻撃で、徳田がトライし、21-10と突き放した。その後、天理大は2トライを奪って1点差としたが届かなかった。後半17分、キャッチすればトライのパスを痛恨のノックオン。35分、6点差を追う場面では、FWでゴールポスト直前まで攻めながら、WTBまでロングパスを送り、トライ後のコンバージョンゴールの位置を難しくして逆転機を逃した。まさに紙一重の試合だった。

 マン・オブ・ザ・マッチは、2トライ、3ゴールと、計16点をあげたSH徳田健太。「うちはキックを使わないスタイル。継続プレーでトライができたのは自信になりました。うちはランナーが多いので、相手のディフェンスがそこを見る、(サイドアタックは)常に狙っています」。昨年U20日本代表に選出されて自信をつけたSHは、謙虚に関西制覇を見据えた。

 「天理にボールを渡せば怖い。そういう意味で、前半はパーフェクトの試合ができました」。天理大戦5年ぶりの勝利に野中監督は安堵の表情。小松監督は「勝ちきれないのが若さ。関西学院は4年生を軸によくまとまっていましたね」と淡々としていた。天理大は登録メンバー23名中、4年生は3名のみ。関西学大は、23名中12名が4年生だった。第2試合で勝利した同志社大の山神孝志監督は、「関西学大は完成型のチーム」と仕上がりの良さを高く評価した。

 優勝戦線は、3戦全勝の同志社大、京都産業大、関西学院大を、2勝1敗の立命館大が追う展開。同志社大は、11月2日の摂南大戦後は、11月15日対京都産業大、11月23日対関西学院大、12月6日対立命館大と強敵との戦いが続く。関西学大は、同志社大との直接対決前、11月15日の立命館大戦がヤマか。この4チームの戦いに実力者・天理大がどう絡むか。目の離せない試合が続く。

(文:村上晃一)

<関西大学Aリーグ 第3節 結果>

■近鉄花園ラグビー場
・天理大学● 20-21 ○関西学院大学(前半 3-14)
・同志社大学○ 46-38 ●近畿大学(前半 25-12)

■宝が池球技場
・京都産業大○ 51-19 ●大阪体育大(前半 18-7)
・立命館大○ 45-24 ●摂南大(前半 24-12)

【筆者プロフィール】
村上晃一(むらかみ・こういち) ラグビージャーナリスト。京都府立鴨沂高校→大阪体育大学。現役時代のポジションは、CTB/FB。86年度西日本学生代表として東西対抗に出場。87年 4月ベースボール・マガジン社入社、ラグビーマガジン編集部に勤務。90年6月より97年2月まで同誌編集長。出版局を経て98年6月退社し、フリーラン スの編集者、記者として活動。ラグビーマガジン、ナンバー(文藝春秋)などにラグビーについて寄稿。J SPORTSのラグビー解説も98年より継続中。99年、03年、07年、11年のワールドカップでは現地よりコメンテーターを務めた。著書に、「ラグ ビー愛好日記トークライブ集」(ベースボール・マガジン社)3巻、「仲間を信じて」(岩波ジュニア新書)などがある。BS朝日ラグビーウィークリーにもコ メンテーターとして出演中。

(写真:マン・オブ・ザ・マッチの関西学大SH徳田健太/撮影:新屋敷こずえ)

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