国内 2014.07.19

東芝、冨岡新HCのもと新スタイルを提唱! FBブーナがスパイス

東芝、冨岡新HCのもと新スタイルを提唱! FBブーナがスパイス

Vuna

今季の東芝のキーマンになりそうな元豪州代表BKクーパー・ブーナ
(撮影:Hiroaki. UENO)

 日本最高峰トップリーグ(TL)で11季連続4強入りも4季連続で無冠に終わっている東芝は、今季から冨岡鉄平ヘッドコーチ(HC)が就任。主将を務めた2002〜06年度に通算7つのタイトルを獲得した新指揮官は、規則性を保って左右にボールを回すスタイルを提唱している。

 12日、東京・キヤノンスポーツパーク。TLに加入3季目のキヤノンに24-31と僅差で敗れるも、「ウチがやりたいラグビーがいい具合にできてきている」と手応えを語った。自陣からテンポ良く複数のフェーズを重ね、相手守備網の形成が遅れたところでSO森田佳寿主将がトライを奪うシーンもあった。冨岡HCは「昨年までは、得てして偶発的なトライを取っていた。きょうは、ウチはこう取るんだ、というものを選手が示してくれた。いい状態になっています」と話した。

 2010年度に現役引退後は、下部リーグ・トップキュウシュウの中国電力の監督に就任。昨季は東芝でBKコーチを務めている。チームは肉弾戦を制圧するさまを伝統的な特徴としてきたが、いまの体制ではランとパスを主体としたラグビーを考えているという。SHとSOの周辺に複数のランナーが待ち構えるシェイプ(陣形)を絶えず形成し、相手にタックルの的を絞りづらくさせながら前に進みたい。一昨季までTLを2連覇したサントリーが似たような戦法をとっているとも取れるが、その見方に指揮官は「どうかなぁ」と首をひねる。

「スピードを上げるラグビーを考えている。もちろんブレイクダウン(肉弾戦)は生命線ですよ。きょうは勝敗にこだわっていなかったけど、勝てなかった理由はブレイクダウンだった。いい課題をもらった。改めて鍛え直さなきゃいけないな、と」

 キヤノン戦では、FBクーパー・ブーナも躍動した。相手と間合いを十分に保ったところでパスをもらい、中央からタッチライン際に向かって鋭くラン。身長187センチ、体重105キロの体躯でタックラーを引き付け、あらかじめその付近に立っていた身長189センチ、体重108キロのFLリーチ マイケルに球をつなぐ…。比較的、身軽なWTBの選手が立つ傾向のあるグラウンド外側で複数の大型選手が突進するシーンを数多く演出した。指揮官はFBブーナを「ただ突っ込んでいくだけじゃなくてクイックフィットがある。今年は彼が中心になっていくんじゃないですかね」と賞賛し、こう続けた。

「東芝が今年どう勝ちたいか、皆が見ていてわかるように。我々だけじゃなくて、対戦相手、観ているお客さんにも。それを楽しんでもらいたいと思っているから。きょうは『何となく、こうしたいのかな』ぐらいだったから、もっと明確に、もっとわかりやすく」

 チームは22〜31日に北海道で合宿をおこない、8月22日には東京・秩父宮ラグビー場で前年度王者のパナソニックとの開幕節に挑む。

(文:向 風見也)

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