【香港セブンズ現地リポ】 日本、延長でロシア下しコア昇格戦ファイナルへ!
(撮影:松本かおり)
ロシアのパスの乱れに乗じ、タックラーが思い切り前に出たが仕留めきれず。ディフェンスが乱れたところを走り切られた(3分21秒)。
PKから仕掛け、藤田慶和がビッグゲインを見せたが、ラストパスのはずがインターセプトで逆襲に遭う(5分21秒)。ここも走り切られて0-14と差を広げられた。
ジャパンにとってはコアチーム入りのかかった香港セブンズ3日目(3月30日)。予選プールを全体(12チーム中)の1位で通過したジャパンは、昨日の準々決勝でチュニジアに勝ち、準決勝でロシアと対戦した。結果は19-14、延長戦(先にスコアした方の勝利)を制しての逆転勝利だったが、冒頭のように、前半に試合の主導権を渡す苦しい展開だった。
ジャパンにとって大きかったのは、前半終了間際に1トライを返せたことだ。キックオフボールを受けたジャパンは、自陣から攻める。ラックから仕掛けたのは坂井克行主将だ。密集サイドを抜け出すと、ロマノ・レメキにつないだ。小柄な弾丸がゴール中央まで約50メートルを走り切り、7点差に迫って後半を迎えた。
ハーフタイム、瀬川智広ヘッドコーチは選手たちに「相手は(すでに)動けていない」と声をかけた。
『ハイテンポ』をテーマに臨んだ試合。先に得点を許したことで、相手のペースに持ち込まれた。しかし、それでも感じていたのはフィットネスで上回っている事実だ。指揮官も選手も、「ボールを手にできれば」の思いは同じだった。
後半に入っても、おそれていた反則などでなかなかリズムをつかめなかったジャパン。やっとチャンスをものにしたのは、6分過ぎだ。レメキ、ロテ・トゥキリで敵陣に入ると、マイボールのラインアウトを得る。その好機にボール確保できなかったジャパンだったが、攻めに転じたロシアのノックオンから走ったのが桑水流裕策だ。こぼれたボールを拾うと、約25メートルを走りきった。同点ゴールも決まり、決着を延長戦に持ち込んだ。
ロシアのキックオフで始まった延長戦。2分過ぎに訪れた歓喜のシーンは、相手のオフサイドから始まった。
PKをタッチへ。右ラインアウトからのアタックは、ボールが左右に動いて数次に及んだ。そして、機を見てタテに出たのがレメキだ。タックルを受けるも、走り込んだトゥキリにつなぐ。ゴール前に迫ったところで、倒されながらも右にパス。それを途中出場の橋野皓介が受けて、ウィニングトライを決めた。
悲願へあと1勝と迫った坂井主将は言った。
「ほっとしている。ピッチで戦っていたメンバー、ベンチにいた選手ともに、勝ちたいという気持ちが伝わってきた。以前なら延長にも持ち込めなかったかもしれないが、東京、香港(での2大会)を通じて、選手がタフになり、焦らなかったことが勝因だと思う。ワンチャンスを活かしてトライを取りきったところが大きい」
最後の相手はイタリア。香港で初めて経験した接戦を乗り越えて、チームは決戦へ挑む。緊張感を凌駕する集中力を試合の最初から出し切りたい。そうすれば、積み上げてきたフィットネスが勝利を呼ぶ。