国内 2014.02.27

サントリーFL佐々木 同僚への思いとあの日の悔しさを、1日の準決勝に

サントリーFL佐々木 同僚への思いとあの日の悔しさを、1日の準決勝に

sasaki

気合十分のサントリーの7番、佐々木隆道(撮影:松本かおり)

 今季の日本最高峰トップリーグ(TL)では準優勝だったサントリーは3月1日、日本選手権準決勝で東芝と激突(大阪・近鉄花園ラグビー場)。昨季まで2季連続でTLのリーグ戦MVPとなったFLジョージ・スミスの今季限りでの退団が決定的ななか、同じポジションのFL佐々木隆道は「いい形で送り出したい。自分たちもいい形で締めくくりたい」と決意を語った。

 移動日前の2月27日、東京・サントリーグラウンドでの最終調整を行った大久保直弥監督は、「スペシャルな選手はどこに行っても必要とされる。それを世界に還元してくれれば」。オーストラリア代表111キャップ(国同士の真剣勝負への出場数)を誇るFLスミスの退団を「去年の暮れ」に把握し、選手にはTLのリーグ戦終了時に伝えた。

「いまはインターネットで情報が出る。メンバーにはその前に教えてくれれば混乱はしない、と。本音を言えば…ですけど、何事もいつかは終わりがくるもの」

 FL佐々木は「少しでもジョージのプレーを見て、感じて、自分のものにしたい」と再認識。これまでFLスミスとともに映像のチェックや個人練習を重ね、「自分の力を引き出してくれた」。接点に入る際の体勢や局面ごとの判断についてなど、具体的な助言を受けた。2012年には約4年ぶりの日本代表復帰を果たした。

「それまでは(接点に)飛び込んでしまうところがあった。でも、(FLスミスのイメージは)思い切り低く入るのが正しいというわけではなく、自分の(体勢の)バランスをしっかり取って入っていく、という感じです。『ワークレートが高いのはいいけど、頑張りすぎじゃないか』とも。ジョージとプレーしてから自分の役割を明確にできた。それまで自分のなかで大事にしていたことが間違えていた(と気づいた)」

 2月11日、東京・秩父宮ラグビー場でのTLのプレーオフ決勝。序盤、自陣のスクラムサイドから突破を図ったNO8小澤直輝への援護がやや遅れた。対するパナソニックのNO8ホラニ龍コリニアシに絡まれ、攻撃が止まった。「ゲームのなかで、(ひとつのプレーへの)準備が良くなかった」。結局、22−45で敗れた。

「(他にも)反省点はたくさんある。自分のパフォーマンスを出さないといけない時に出せなかったのが本当に悔しくて。あの日の記憶が消せない。全てが浄化されることはないと思うけど、日本選手権、納得して終わりたい」

 大久保直弥監督は、インターバル期間中にミニ合宿を行い「どうボールを奪うか」について時間を割いた。「東芝はウチにボールを渡そうとしないと思う。パナソニックとの試合でも、相手の方がボールを持っている時の方が多かった。だから、合宿ではほとんどディフェンス。その成果を出せれば」。
 準決勝では、好調なFLヘンドリック・ツイを先発させてFLスミスをリザーブに回す。当日の接戦を予想し、「ジョージが最後まで元気な状態でいてもらう」ことにも期待しているようだ。

 指揮官と主軸の愛弟子がリベンジを期す一戦は、3月1日の14時5分、キックオフ。

(文・向風見也)

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